物議を醸している、mimicについてです。
AIを用いて、個人のイラストを学習し量産出来るようにするサービスです。
このサービスの登場で、イラストレーターやアマチュア各所から反発の声が上がっているようです。
悪用されかねないサービス
mimic公式にも書いていますが、30枚以上のイラストを学習させることで平均化し、量産することが出来ます。
つまり、権利者でもない人間がネットで拾った作家のイラストを用いて学習させることで、〇〇先生っぽいイラストを量産することが出来るのです。
これは悪用の例で、mimic公式は権利に関してはイラストレーターにあるとしており、本来の使われ方ではないとの認識でしょう。
個別の作品の利用可否についてはお答えしかねます。
この答えのように、公式がどこまで取り締まるのか現状不明なのが騒動を巻き起こした原因でしょう。
イラストレーターの仕事が奪われる?
中堅より下の立ち位置にいるイラストレーターはこのようなサービスが今後増えると死活問題になる可能性があります。
まず、作家個人のイラストを使われて量産された場合、その作家っぽい絵が大量にネットに流れてしまい、没個性化するからです。数が質を飲むということです。
そして、AIが作ったものでも安ければ使いたいと言う層がいるのも事実です。
元々そういった会社や個人は、中堅以下、もしくはアマチュアに驚くほどの低価格で発注しています。さらにダメなら海外へ、という形です。
実際、そのような会社がAIイラストを用いた商業作品を作ろうと、個人のAI技術者に話を持ちかけているそうです。
受注した側が嬉しそうにSNSで報告したので、こちらも炎上しています。
結局、中堅以下のイラストレーターからすると、仕事自体のパイが減る上、イラストの良し悪し自体の判断にも影響があり、結果的に単価が全体的に下がる可能性が多いにあります。
イラストという分野は無くなるのか
私個人の考えですが、このようなサービスが出ること自体を責めることは出来ないと思います。
イラストや個人の創作物は守られるべきと思っていますが、AIが真似たのか人が真似たのか、権利というものは曖昧です。
少し前に有名イラストレーターがニュースにもなっていましたが、いわゆるパクリと言われるものは、表に出ていないだけで大量にあると思います。
絵画などの美術界隈の方がひどい例もあります。それら全てを糾弾し、消し去ることは出来ないと思います。
では、イラストレーターはこの世から無くなるのか。
私は無くならないと思います。
なぜなら、仕事というのは人との関係性で成り立っているからです。
ある小説家が作家の能力で、一番大事なのはコミュニケーション能力だとインタビューで語っていました。
才能があっても売り込みが出来なかったり、編集さんや関わってくれる人と上手くやれない人はすぐダメになると。
何が言いたいのかというと、同じような絵が仮に量産されたとしても、発注する側はコミュニケーションが取れる方を選ぶということです。
それは細かい指示もそうですし、会社のお金を人に使って関係性を構築することに価値があるからです。
つまりブランド化されたイラストレーターは、職を今の所は奪われないということです。
大御所もそうですね。
イラストレーター界隈が本当に騒ぐべきは、実体を持ち、営業、交渉をこなし、AIでネットから作為的に情報を集めイラストを作りブランディング、納品する。
そのようなワンパッケージになった、もはやイラスト作成アンドロイドのような存在が出た時です。言ってしまえば、ほぼ人ですね。
その時が、人が描くイラストという分野が無くなる時だと思います。
【追記】主流はNovelAIへ「AI絵師爆誕」
現在の主流は変わり、NovelAIへと移っています。
こちらも有料サービスですが、データ元である海外版pixiv(かなりグレー)のような場所の画像データを収集し、AIを運用しています。
いわゆる呪文と言われるキーワードを入れることによって、イラストを生成します。
あまりの勢いに、本家pixivでもAI絵というカテゴリが作られ、棲み分けがなされています。
あくまで普通の手描きとは違うよ、という体ですが懸念通り数が質を飲み始めています。
某DLサイトでもAIイラスト集などが相場より安く販売されています。
AI絵師という言葉も誕生し、イラストレーターやアマチュアが大激怒し、未だSNSでも荒れに荒れています。
絵画は何回終わるのか?
もう絵を描く時代は終わったと、アートの世界でも数えきれないほど叫ばれて今日に至るので、あまり過剰にAI絵師という存在を叩くべきでは無いと思います。
現代アートや、デジタルアートを日本で先端的に取り入れた人間も皆、地道に絵を描いている人を揶揄していました。なぜか?承認欲求を満たしたいのです。新しいことやった、褒めて!!ってことですね。
そういう場合は無視が一番です。相手もそれが嫌だからわざわざ尖った発言したり、煽ってくるのです。ぶっちゃけ関わってもなんのメリットもありません。
※あくまでネット上の変な人限定です。
そして、手描きで描いてる人もAIの利用は今後考慮すべきです。
権利関係においてホワイトなものに限りますが。
人物画を描いていた近代の画家たちが、写真という新しい技術が出た際に、廃業するのでは?と言われましたが、結果そのようなことはありませんでした。
画家も写真の技術を作品に応用することによって、今まででは時間とコストの掛かっていた集団での人物画に活かしたり、多面的に作品を展開することができました。
そして、当時は隠れてこっそりやっていたようです。
このように、新しい技術を取り込むことが生き残る術になるという場合もあるのです。
AI絵師を出し抜くためにも、今は無視し、ひけらかしてる技術だけ抜き取って、少しづつ創作に生かすことが最善です。
彼らは、それを一番恐れているからこそ、先行者利益にこだわるのです。
【追記2】セルシス クリップスタジオのやらかし
セルシス運営のクリップスタジオもAIを利用したサービスを展開しようと、告知をしましたが強烈な総バッシングに合いサービスは断念されました。
しかも、今後絶対セルシスはこのようなことは言わないやらないという誓約付きです。どれほどのバッシングか想像できますね。
これに関しては当然です。
AIを使わずに頑張っている人たちからすると、裏切りに近い行為だったからです。さらにデータ元もこれまた、グレーな場所で権利関係が曖昧なものでした。
そして、お決まりの個別の作品の利用可否についてはお答えしかねます。
ましてや、クリップスタジオはプロツールです。
クリップスタジオ使用の商業作品全てに、権利侵害の謂れなき疑念が付きまとうのです。それは死活問題です。
自社の公式素材を元にAI背景製作サービスを作ればよかったとも思いますが、そうなるとクリップスタジオと懇意にしている背景倉庫やアマチュアの素材提供サービスが全て廃業になります。八方塞がりです。
技術自体は製作に活かせると私は思うので、何らかの形で権利関係をクリアしてサービス化して欲しいと思います。