【サイバーパンク エッジランナーズ】NETFLIXオリジナル 全話視聴
作画☆☆☆☆☆ キャラ☆☆☆☆☆ 脚本☆☆☆☆☆ 構成☆☆☆☆☆ 音楽☆☆☆☆☆
総合100点
クールジャパン
日本の内閣知的財産戦略推進事務局が推奨、国家主導で日本のサブカルチャーを海外展開し、インバウンドに繋ぎ日本の経済成長を実現するブランド戦略。wikiより
はじめに
今回はサイバーパンクエッジランナーズ(以下エッジランナーズ)を全話視聴してのレビューになります。
この作品はどちらかというと、海外ファンから口コミで広がり大ヒットした作品です。
現在もYoutube上では、視聴してみた、演奏してみた、MADが大量に投稿されています。
軒並み失敗している日本のネトフリオリジナルアニメの中でなぜこの作品が大ヒットしたか?それは、制作会社のスタンスにあると思います。
今までのオリジナルアニメを請け負った会社は、海外へ発信されるとのことで、いわゆる日本的表現を抑え、世界的に認められるようなラインでの制作をしていました。
多様性を示唆し、社会風刺要素をマシマシにしたら世界基準のアニメじゃね?
そして、そのような作品こそクールジャパンだ、という考え方が蔓延していたと思います。
結果はほぼ惨敗。
最終的にはネトフリも数字が付いてこない現状に危機感を抱き、オリジナルアニメへの出資を抑えるようになりました。
求められていないクールJAPAN
今回エッジランナーズを制作したのは株式会社トリガー。
グレンラガンやキルラキル、最近ではグリッドマン、プロメアが有名です。
実はこの素晴らしい経歴を持ったトリガーも、ネトフリでの二作目のオリジナルアニメ、エッジランナーズの前作である「BNA」では同じ失敗をしています。
北米では創作上のキャラクターの持つ異性を惹きつけうる魅力を、一般的なラインから下げる方法として、獣化があります。
北米では顕著な文化で、北米は創作において異性を惹きつけるような格好をした、人間の女性に対しての検閲は日本より厳しく、これらを躱す為に紳士向けイラストレーター達は、こぞって獣人を描き始めた経緯があります。
獣人だから人間ではない、動物だから人間の異性を惹きつけたりをしないという言い訳ですね。
二次創作等でも、有名なポケットに入る位のボールで捕まえるモンスターアニメの紳士向けイラストが異常に人気があるのは、その様な文化的土壌があるからです。
そしてBNAの世界では登場人物の多くが獣人です。
元々トリガーは獣人好きなので趣味も入っているでしょうが、そのような性的なラインを下げること、民族の多様性を示唆すること、を主な目的としてこの世界観にしたのだと思います。
内容も社会風刺をメインにしたもので、日本の自衛隊を公務員と言ってみたり、イルカ漁を野蛮だと言ったり、かなりリベラルでアナーキーです。
要は海外の人にウケようとした為、トリガーの持ってるポテンシャルとしては失敗という結果になりました。
海外の反応も、曲は良いよね・・・獣人かわいいね・・トリガーのアニメは本当良く動くね・・・といった微妙な反応でした。
海外ファンが求めているもの
ここで
なのですが、なぜ世界基準を意識し、海外向けに作った作品が失敗するのか。
結局、海外ファンが求めてるのは、世界に向けた薄まったクールジャパンでは無く
ガラパゴス化して煮詰まった、ヘンタイジャパン
これが本質なのだと思います。
エッジランナーズに話を戻します。
制作会社のスタンスと最初に書きましたが、今回のトリガーは違いました。
日本のアニメスタジオとしての矜持
特に顕著なのはレベッカというキャラについてです。
インタビューでの有名な部分を要約しますが、
初期段階の頃に、「アニメ的で小柄で可愛らしい容姿のレベッカを出すのは世界観を壊すから辞めてくれ」と、CDPR(原作ゲーム開発元)からキツめに言われたそうです。
しかし、トリガー側は、「これがないと作品としてダメなんだ、彼女のようなキャラが銃を撃ち動くことでアニメーションとして面白くなる、そして我々のモチベーションにも関わる!」と言い、譲らなかったそうです。
その結果作品内でも屈指の人気キャラになりました。
海外では多数の動画やファンアートが作られ、レベッカの結末に悲しみ怒り狂い機材を壊しかけたyoutuberもいるほどです。
【小柄の可愛らしくもセクシーな女性で、男主人公にベタ惚れ】
という、世の中の流れを真っ向から無視したキャラが受け入れられてるのです。
しかも、アニメとしての面白さを追求する為、CDPRが案として出していた脚本や絵コンテを全てトリガーが却下していたので、懐疑的な目を向けていたCDPRも、実際の映像にて試写会を行った所かなり好評で「早く続きを見せてくれ」と懇願する社員もいたそうです。
海外のファンが求めているものはクールジャパンではなく、ヘンタイジャパンだということ、ヨーロッパ、北米含めた海外へのアピールとしても有効であると浮き彫りになりました。
そして、恐らく日本のアニメファンも潜在的には同じだと思っています。
ここが一致している。これは大事なことで喜ばしいことです。
まとめ
このように、制作会社が日本のカルチャーを押し切り、アニメ的表現、日本的表現にこだわった結果生まれたのがサイバーパンクエッジランナーズです。
私は見終わった時に本当に嬉しくて画面に向かって拍手をしました。
やっと日本のアニメが、NETFLIXで海外ファンに受け入れられた、一種のムーブメントまで引き起こした。本当に誇らしかったです。
今後も制作会社は、
「特定のグループやどちらか片方に配慮された、中立的な表現の取り入れ方。実質的には均等化では無く、一方の排斥が主な目的となってしまっている活動」
いわゆるポ〇コレやその他の世情に配慮し過ぎずに、日本のカルチャーが煮詰まったヘンタイジャパンに自信を持って、どんどん表現して欲しいと切に思いました。
本記事は以上です。
ありがとうございました!
※HENTAI=ポ◯ノという認識が特に海外では強いですが、そのような文脈ではなく、煮詰まった変質性の高い表現を用いるという点においてヘンタイと表現しました。
日本では、技術を極めた人のことをヘンタイと呼ぶスラング的な使い方もポピュラーです。一部の深夜アニメのような、胸がブルンブルン震え、スカートの丈が短く常に中身が見えているような表現とは違います。
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