はじめに
「人生の栄養剤」「ただそこにある尊さ」「壁になりたい」
などと、形容されるきらら原作アニメにおいて時間と共に忘れられがちだったり、作品の質と評価が噛み合っていなかったり、ワンクールしか放送されなかったり・・・。
そのような、マイナー作品として認知されがちな作品をランキング形式で5つ紹介します。良ければアニメ視聴の参考にして下さい。
5位
うらら迷路帖
あらすじ
占いの町、迷路町。そこにやってきた山育ちの千矢は、紺と小梅という同い年の少女に出会います。2人は千矢と同じく棗屋という占い処への招待状を持っていました。
棗屋の人見知りな妹ノノも加えて4人の生活が始まります。「うらら」を目指す少女たちの日々、これより開幕!
古き良き「きらら世界観」
迷路町では、女性しか働き手がおらず、作中も女性しか出ません。
そのような古き良き、きららの伝統的な構成と内容になっている【女の子×占い×青春物語】アニメです。
仲間でありライバル。
共同生活を送る中で芽生える友情と、微妙な感情に揺れ動く彼女達の尊さに目が離せません。健康的なスキンシップも多く、和装も相まってどこか耽美な所も魅力です。
ストーリー後半は設定を生かした怪奇的な展開もあり、うららの禁忌についてや千矢が迷路町を訪れた理由も含めて謎が謎を呼んでいきます。
本作品はワンクールしか放送されず、放送後完結した原作と比べるとかなり消化不良。良く言えば「楽しいあらすじ」のような内容です。
キャラの可愛さや声優ユニットには注目されたものの、原作の休載や監督の多忙さ、他きらら作品の台頭(まちカドまぞくなど)も相まって、あっさりと消費され、気付いたら忘れ去られていた印象。
原作はコンパクトにまとまって終わったので、もし完結後にアニメ化していたら・・・、と思うと今でも少し残念な作品です。
4位
スロウスタート
あらすじ
この春から高校一年生になる、人見知りな女の子、一ノ瀬花名。
彼女はとある理由から、いとこの志温が管理人を務めるアパート「てまりハイツ」で暮らしている。新しい高校、新しい毎日の中で起こる、素敵な出会いの数々。
かわいさ溢れ、心あたたまる、スロウな成長物語。
少しオトナなジェネリックごちうさ?
少し変化球的な要素もある本作は、花名の日々の中で起きる出来事に焦点が当たっており、百合としてはかなりライトな部類に入ります。
監督も「ご注文はうさぎですか?」と同じ橋本裕之さんなので、日常系に近くもテンポ感の良い、やさしい雰囲気の癒されるアニメになっています。
第一話の冒頭、OPなどが特に監督色が出ていますね。
百合としてはライトな部類と書きましたが、栄依子と冠、後に出てくる教師との関係は少し濃厚なもので、下ネタ的要素も要所要所に散りばめられており、キャラの関係性にメリハリが効いています。
花名が親元を離れ「てまりハイツ」で暮らすようになった理由もしっかりと、この作品のコンセプトに関りがあるので、ぜひ視聴して確かめて下さい。
3位
こみっくがーるず
あらすじ
萌田薫子(P.N.かおす)は駆け出しの女子高生4コマまんが家!
・・・なんだけど、初めて掲載された作品が雑誌のアンケートでビリになってしまう。
メンタルを心配した担当編集者の編沢に勧められ、かおすはまんが家専用の女子寮に入居することに・・・
きらら版トキワ荘物語
きらら版トキワ荘物語のような本作は、少女漫画家の小夢、TL漫画家の琉姫、少年漫画家の翼などが、主人公であるかおすと共同生活を送ります。
全員漫画家という設定を活かし、画面をコマ割りしたり、作中内での漫画作品やイラスト作品が多数出てきます。日常系というよりは、【漫画×百合×コメディ】のような内容です。
ボツネームにまみれ、アンケートもビリだったかおすが成長し、立派な漫画家を目指す過程も描かれるので、漫画家志望の人が見ても違った側面で楽しめると思います。
かおすのイラストは味があって、少し笑えるので必見です。
構成的にかなりすっきり、ワンクールにまとめられており、最終話を見終わった後の満足度が高い作品です。一周回って・・という王道な展開って個人的に好きなんですよね。
原作は全9巻で完結。アニメの知名度に比べると最後まで寝強い人気のある作品でした。
2位
スローループ
あらすじ
海辺でひとり、亡き父から教えてもらったフライフィッシングをしている少女、ひより。時刻も夕方に差し掛かりそろそろ帰ろうとすると、突然大声をあげる少女が現れました。どうやら綺麗な海を見て感動しているようです。すると突然、その少女は服を脱ぎ始め・・・
心に寄り添う三人の物語
人見知りだけど好きなことにはまっすぐなひよりと、常にふわふわしており陽気な小春。特殊な境遇を持つ2人の日常がメインの作品です。
フライフィッシングというマイナーな釣法についての、ちょっとした豆知識などもあり、新鮮です。
サブキャラクターにあたる吉永恋は、父親のフライフィッシング専門店の店番をしており、この作品ではいわゆる説明役になっています。
恋は、態度は大人っぽくて強気ですが人の感情に敏感な心優しいキャラで、ストーリーにも大きく関わってきます。
ひよりと小春、そして恋も。キャンプや船釣りなどを通じて、互いの関係を深めていくことで少しづつ成長し大人になっていきます。
全編通してしっとりした雰囲気で、自然のSE音と、自然なキャラクターの存在感があり、癒されます。
後半は感動的なシーンが多く、特に11話の恋とひよりの幼馴染同士が心通わせる展開は、尊さの塊です。
最終話まで良くも悪くも安定した作品で、目立つ所も無ければ、悪い所も無い。
そのような評価になりがちな本作ですが、ひより、小春、恋、この3人のトライアングルとして観ると、違った魅力が見えてくる良作です。
1位は・・・
ゆゆ式
あらすじ
この春、女子高生になった、ゆずこ、唯(ゆい)、緑(ゆかり)の3人組はいつも一緒の学園生活。女の子がいちゃいちゃするだけ、でもなぜか目が離せない新世代女子高校生コミュニケーション。ノーイベント・グッドライフ!それがこの3人の【ゆゆ式】ルール。
何も無いって最高の日常
情報処理室で適当におしゃべり、飽きたら帰宅、帰宅しても喋りっぱなし。
メインの脚本家と監督が女性なので、女性同士のとりとめのない会話の間が再現されており、ほのぼのながらもウィットに富んだ会話が楽しいアニメです。
作画も安定して可愛く、3話「夏休みじゃーい!」のプールシーンはそれまでの日常作画とは違い、良く動く制作陣こだわりのシーンになっています。
後半になるにつれ、それぞれのキャラの隠れた性格があらわになっていくので、女性同士の日常をこっそり見ているような不思議な気持ちになります。
まさに視聴者が壁や定点カメラになってキャラを眺めることが出来るアニメです。
「お母さん」と生徒から慕われている頼子先生や、唯のことが気になっている相川千穂など、他にも魅力的なキャラが多くワンクールだけでも満足度が高い作品です。
会話がメインだからこそ、ぼーっと楽しみながらも、クスっと笑える、これぞ日常系なアニメ「ゆゆ式」が1位でした。
ちなみにアニメ放送から今年2023年が10周年となっており、流石にアニメの知名度は低くなり、語られることも少なくなってきました。
原作は15周年というロングランな作品で現在13巻まで出ています。こちらはまだまだ続くようなので、これからも応援したいですね!
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