はじめに
LDACは高音質コーデックとして広がりを見せていますが、販売店や会社ごとに捉え方が微妙に違ったり、ハイレゾのワイヤレスって一体?という方も多いと思います。
今回は、LDAC対応製品ユーザーとしてざっくりとLDACとハイレゾワイヤレスについて書いていきたいと思います。
短めで簡単な内容の記事ですが、良ければお付き合いください。
※LDACはソニー株式会社の商標。ハイレゾワイヤレスは日本オーディオ協会の登録商標、または商標です。
LDACってなに?ハイレゾワイヤレスって?
まずは簡単にLDACとハイレゾワイヤレスの説明から。
端的に書いていくので、詳細が気になる方は公式のHPをご覧下さい。
【LDAC】
SONYが開発した従来技術に比べて約3倍のデータ送信を可能とし、ハイレゾ音源を低い周波数・低いビット数へダウンコンバートすることなく伝送できる高音質コーデック(接続方法)。
※SBC328kbpsに対してLDAC990kbps。
ソニー株式会社 | LDAC™ 一般ユーザー向けサイト|音楽をハイレゾで楽しもう。ハイレゾ&ワイヤレスで楽しめるLDAC
【ハイレゾワイヤレス】
日本オーディオ協会による無線製品向けのハイレゾ指標。協会が認証したオーディオコーデックをサポートし【ハイレゾが楽しめる十分な音質を備える製品】に与えられる認証とロゴ。
※LDACの他にはaptX-Adaptive aptX-HDも認証コーデック
一般社団法人 日本オーディオ協会 | ハイレゾ | ハイレゾロゴ | 定義と運用
ざっくり書くと、
LDAC→3倍データ送信出来る高音質コーデック
ハイレゾワイヤレス→協会が定めた「ハイレゾを楽しく聴ける」という認証
と言う感じ。
すでにややこしいとは思いますが、付け加えるとLDACなどのハイレゾワイヤレス認証コーデックは厳密にはハイレゾ音源そのままの音が出て来るわけではないということ。
ハイレゾ音源の定義は【96kHz/24bit以上かつ非圧縮/可逆圧縮】であり、LDACの場合非可逆圧縮なので基準には至らないハイレゾ「相当」の音質ということになります。
別に無線にハイレゾって付けなくても良かったんじゃ・・・とか思ってしまいますが、協会の言う通り【ハイレゾ音源をワイヤレスでも楽しみたい】という世の中の流れに沿って作られた認証ということですね。
さて、ややこしい話はここで終わり。
次はLDAC対応製品ユーザーとして、メリットとデメリットを書いていきます。
LDACのメリット&デメリット
メリット
単純に音質ですね。
個人的にも音の厚みと高域表現が従来コーデックと比べて豊かに感じるので、ハイレゾ音源を無線で聴くならマストなのは間違いありません。
その高音質の理由としては、
・3倍の情報量でハイレゾ音源をワイヤレスで最大限表現出来る。
・LDACを前提としたチューニングや設計が施されている。
このような点が大きいのではないかと思います。
情報量が多いことはコーデックの特性上でも明らかですが、高域表現や音の幅の広さを意識して設計、LDACで聴く事を前提でチューニングされている対応製品がほとんどなので、従来製品とは音の傾向が違います。
それが好みかどうかはさておき、【ハイレゾを楽しく聴く】という目的は果たしているように思います。
デメリット
二つありますが、一つ目は「接続性が悪い」。
要は3倍送信量が多いので電波干渉を受けた際に、プツッと途切れる確率が上がります。
コップから水を垂らすと一瞬ですが、そのコップが3倍の長さになっているので、途中に邪魔が入ればそれが途切れになります。
特に人が多く集まる駅などでは、安定して通信することは難しいという一面があります。
それをソニーは認識しているので、「LDAC通信優先」という接続方法をウォークマンやXperiaに搭載しています。状況に応じて330kbps、660kbps、990kbpsと調整されるので屋外ではこちらがデフォルト扱いになります。
二つ目は「遅延がある」。
SBCの遅延が大体220msなのですが、LDACはその3~4倍の遅延があります。
計測方法や機材によってブレがありますが、SBCより早くなった計測結果を見たことは無く、基本的に1秒近い遅延があるという認識で大丈夫です。
こうなってくると、映画などを観ても【うん、タン!】と一拍置いて聴こえるので、動画視聴はかなり難しい。あくまで音楽を高音質で聴くコーデックとして扱わないといけないので、普段使用でも自由度が狭まります。
まとめ
元々のハイレゾワイヤレス認証の定義が曖昧ゆえ、消費者にとってもわかりにくくなっているのはちょっと問題ですよね。
結果的にLDACのメリットも伝わりにくくなっているような気もします。
ただ、最近ではハイコスパ系の製品にもLDACが採用されることが多く、製品の質が上がりチューニングの幅も広がることで全体的な底上げに繋がっているので、認証のシステム自体は良い影響を与えている部分もありますね。
結論として、メリットデメリットが存在するとはいえ【高音質で聴ける】という選択肢があるだけでも大きな音楽鑑賞体験の違いになるので、LDACはちゃんと知って使う分には優秀なコーデックです。
以上。今回の記事が少しでもお役に立てていれば嬉しいです。
良いオーディオライフを!
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