はじめに
皆さんはヘッドホンを買う際、どの要素を重視しますか?
人それぞれ、用途にもよるでしょうが、私の場合「重さ」をまず始めに確認します。
椅子に座ってPCに向き合い作業をしながら音楽を聴くことが多いので、首への負担を考えた時に重さは重要な項目です。
ヘッドホンの使用感について重量別にまとめると、
100~200g
快適。作業や勉強に最適で一日中着けていられる。
200~300g
そこそこ快適。2~3時間位までなら頑張れる。
300~400g
首への負担大。特に300g後半になると作業は無理。
といった感じで、微妙な差であっても体感では大きく感じます。
音楽制作や動画制作をされる方にとっても重要な要素ではないでしょうか。
なので、今回は重量別(6階級)で有線ヘッドホンを紹介したいと思います。
良ければヘッドホン選びの参考にして下さい。
重量別ヘッドホン紹介
超軽い(フライ級)
オーディオテクニカ ATH-M20x 190g
まずは軽くて音質も良いモニターヘッドホンの定番製品です。
重量は190gという驚異の軽さでありながら、40mm径のドライバーを搭載し、プロの現場に耐えうる高音質を実現しています。
特性はモニターらしくフラットかつ高解像度。スタジオレコーディングやミキシング、個人での音楽制作や楽器の演奏等に最適です。
重さや存在感を感じないので、長時間使用でも集中が途切れず作業が捗ります。
ワイヤーも3mというロング仕様かつ片出しなので、演奏はもちろん楽譜や資料を探す時にも邪魔にならず快適です。
値段もフライ級らしく実売価格がなんと7000円ほど。
コスパ抜群、オーディオテクニカ渾身のプロ向けヘッドホンです。
※Amazonでは1.6mモデルも売ってます、普段使いやポタオデにおすすめです。
軽い(バンタム級)
SONY MDR-MV1 223g
ソニーが生み出したセミプロ向けの最強モニターヘッドホン。
背面開放型で立体音響対応の高スペックながらも、223gの軽量ボディを実現。音楽制作、動画制作などクリエイター向けとしてその作業快適性は群を抜いています。
肌触りの良いスエード調の皮革をイヤーパッドに採用、長時間使用でも蒸れにくく快適です。さらにユーザーの手で簡単に交換出来るようになっておりメンテナンス性も高いのもポイント。
ハウジングを塞がない背面開放型音響構造によって、ヘッドホン内部の反射音を低減し、クリエイターが意図する正確な音場を再現。
どこまでも伸びていく正確な高音と、色付けの少ない自然で充実した低音域再生が特徴です。
実売価格も4万円代前半に落ち着いて来たので、同価格帯&重量帯では敵無しのヘッドホンです。
【合わせて読みたい】
普通(フェザー級)
ゼンハイザー HD660S2 260g
これ以上のバランスは存在しない。
と思わされてしまうスペックを持ったゼンハイザーの名機。
重量は260gという絶妙な軽さでありながら、ベロアを組み合わせたイヤーパッドの完璧なフィット感、そして音質のポテンシャルの高さは他を圧倒しています。
HD600シリーズのDNAを色濃く継承し、アップデートされた本機は唯一の弱点とも言えた低音の物足りなさを解決し、全ての音源をドラマチックに再現します。
開放型ながら、低域から高域まで不足なく鳴らすことが出来るヘッドホンとして、激戦区のフェザー級で唯一無二の魅力を放っています。
ちなみにインピーダンスは300Ωなので、ウォークマンやスマホでは歯が立ちません。DACアンプなど出力側にも予算をかけることになるのが、ある意味デメリットかもしれませんね。
実売9万円代とそこそこ高額ですが、値段に見合う価値アリの製品です。
【合わせて読みたい】
やや重(ライト級)
FIIO FT1 340g
ハイコスパで有名なFIIOが世の中へ送り出した衝撃のヘッドホン。
ハウジングは北米産ブラックウォールナット、60mm大型ドライバー、10Hz-40kHzの広帯域再生、このスペックでなんと定価29700円!
重量は流石にライト級なので、大台入りの重量340g。
この辺りから、じわじわと首への負担を感じ出し、長時間使用も人によっては辛くなってきます。作業用としてはギリギリのバランスな印象。
とはいえ、木材ハウジングは重量を増してしまう代わりに、原音に忠実かつナチュラルな響きを得られ、本機でも豊かな低音と音場の広いダイナミックサウンドを実現しています。
多少重くとも値段は軽量級なので万人に勧められますし、自然で聴き疲れもしないので「リスニング重視のヘッドホンが欲しい」という方にもおすすめです。
重い(ミドル級)
DENON AH-D9200 375g
日本の技術と素材が生み出した、DENONのハイエンドヘッドホンです。
ここからはミドル級。装着すると明らかに重いと感じる重量帯です。そしてこのAH-D9200は375g。
郷愁を誘われる美しい孟宗竹を日本屈指の職人が腕を振るい加工、ハウジングやドライバーも全てDENONのマザー工場にて一貫して組み立てられています。
50mmファイバードライバーの生み出す音は、密閉型だということを忘れるほど通りの良い素直な解放感があり、オーケストラでは管楽器は際立ち低音も深く沈みながらも美しい響きを描きます。
重さの体感としては、一時間経ったころには首肩に疲れが生じており、休憩が必要になります。作業には全く向かず、ソファなどにドカッと座り半分寝転ぶような体勢が向いています。
まぁ、音質と素材にこだわって作られているので、作業せずリラックスして音楽に没頭してくれ。ということだと思います。そりゃそうだ。
超重い(ヘビー級)
HIFIMAN Arya 430g
値段もヘビー級ですが、界隈ではコスパが良いと言われているヘッドホン。
10万超えてるのに・・・?
その理由は、このヘッドホンは最近ではトレンドになりつつありますが、ややニッチな平面磁気駆動型で、ステルスマグネットやナノメーターの振動版など革新的で豪華な内部構造になっており、そのドライバのベースとなっている機種は過去に40万円弱で発売されています。
その為、この値段で40~50万円クラスの音質を実現しているのが驚異的とのことで、コスパが良いと言われています。
平面磁気駆動型とは・・・
ヘッドホンは振動板を動かして音を再生するが、その振動板全体で振動するタイプのヘッドホン設計を平面磁界型、または全面、平面駆動型と呼ばれている。
メリット
・ 応答性が高く低い歪率
・従来品より正確で自然な音質
デメリット
・音量を取るのがやや難しい(機材を選ぶ)
・どうしても本体が重くなる
ということで、430gもあるので作業なんてしようものなら首が悲鳴を上げます。
その代わりにオーケストラやクラシック、女性ボーカルに適した最上の音を奏でてくれますし、本機はリケーブルも3.5mmで簡単に行えるので、現代のユーザーにも適した総合力の高い製品です。
番外編(モンスター級)
final D8000 523g
値段も重量もまさにモンスター級な、finalの技術力を結集した平面磁界型ヘッドホンです。
お値段約45万円、その重量なんと523g!
当たり前ですが、よっぽどの覚悟がある方以外にはおすすめ出来ない製品です。
今回は重さに関するユーザーの意見がちょっと面白かったので紹介します。
・欠点はとにかくめちゃくちゃに重たいこと、それだけです。
・クレイジーな重量!側圧もキツイ!もはや文鎮万力。
・苦痛を耐えることに喜びを見出す修行僧の様な方にはおすすめです。
・○おかしい。5分~10分が限界で人には絶対に勧められない。
悲鳴にも似た内容ですが、皆「音質は最高」と言っているので、この点はスポーツカーに燃費を求めるようなものなのかもしれません。
finalさんのこういう妥協せず媚びない物作りは、個人的には好きです。
※ちなみに後発のD8000 DC Pro Editionでは重量が431gにまで軽量化されるそうです。値段は10万円上がっていますが。
バーリトゥード編(ワイヤレス&USB-C)
「バーリトゥード」なんでもありとのことで、ワイヤレスの中で二種の重量別、そしてUSB-C対応の最軽量モデルを紹介します。
軽量かつ高音質
ゼンハイザー ACCENTUM Plus Wireless
重量は227g!
軽さこそ正義を体現しているワイヤレスヘッドホンがこのACCENTUM Plus Wirelessです。
本体が軽いと音質とトレードオフな場合が多く、なかなか満足することが難しいのですが、本機は上位機種からドライバー技術を流用しているので音質がとにかく良い。
同ブランド製のトランスミッターBTD600との相性が良く、aptX Adaptive接続で96kHz/24bitに対応しているのでハイレゾ音源も最大限楽しむことが出来ます。遅延も大体0.1秒の半分ほどなので映画やライブ映像も快適。
軽さで音質を犠牲にしたくない!そんな方にこそおすすめです。
【合わせて読みたい】
重いけど室内最強
SHURE AONIC 50 Gen2
しっかり重くて、しっかり中身が詰まっているのがAONIC 50です。
その重量は340gとワイヤレスの中ではトップクラス。
大型50mmドライバー、ANC、高性能マイク、100m通信が可能なクラス1BT、現行のほぼすべてのコーデック対応※、さらにバッテリーは連続45時間という機能爆盛り状態。
同重量帯は見た目重視だったり、素材が重量に影響を与えている場合が多いのですが、「いらんいらんバッテリー容量増やしたろ」というアメリカらしさで溢れています。
没入感のある体験を実現する「空間オーディオ」機能では、低音とダイナミックレンジを強化する「シネマモード」やスピーカーから聴こえてくるような「音楽モード」が選べ、室内利用においてすべてのエンタメ願望を満たしてくれます。
音質自体はSHUREらしくモニター傾向なのでバランスが良く、扱いやすさもポイントですね。ソファに座ってホームオーディオ感覚で使い倒せる、有能ヘッドホンです。
※対応コーデック
Qualcomm aptX、aptX HD、aptX Adaptive、aptX Voice、 AAC、SBC、LDAC。
最軽量&USB-C
オーディオテクニカ ATH-S120C
今回最軽量の有線ヘッドホンがこちらATH-S120Cです。
その重量は・・・・110g!!
ちょっと厚手のニット帽と同じくらいの軽さですが高音質DACを搭載しており、PCやスマホと接続するだけで、音楽から通話まで幅広くクリアな音質で楽しむことが出来ます。
今どきにipadやスマホでの音楽制作や動画編集などでも活躍しますね。
「カフェや電車の座席がスタジオへ・・・」なんてどこかのリンゴみたいなキャッチコピーが似合います。
改めてポータブルな有線ヘッドホンの良さを感じさせてくれる、ミニマルな逸品です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
重さ別に分けるとなんとなく、その重量帯の特徴のようなものが見えて面白いですよね。
フライ~フェザー:普及価格帯で使い勝手優先の設計
ライト~ミドル:明確な目的をもった音質設計でターゲットがハッキリしている
ヘビー級以上:ロマン
といった感じで、特にヘビー級以上のヘッドホンには新しい技術を詰め込んだ製品も多く、トレンドである平面駆動型をきっかけに現在進行形で増え続けています。
今後もしかしたら、あえてロマンの塊である重いヘッドホンを一台は持つ、というのがオーディオ界隈でのトレンドになるかもしれませんね。
本記事は以上です。
ありがとうございました!
【関連記事】