はじめに
沼の入り口といえばZENDAC。
私がDAPを買ってひっそりとオーディオに浸かり始めた頃、世間ではZENDACの優秀な音質とそのコスパの高さが大きな話題になっていました。
ヘッドホンアンプ/DACということでスルーしていましたが、今回新しくヘッドホンを購入したので第三世代のZENDAC3を買ってみました。
音質から接続方法、純正電源の必要性、ヘッドホン駆動、イヤホンではどうか?など色々試してみたので実機レビューしたいと思います。
ZENDAC3 レビュー
デザイン外観
正面はこんな感じ。
グレーメタルな本体にテクスチャの付いたジェイドグリーンとシルバーが良いアクセントになっています。
左からPOWER MATCH、XBASS、音量ダイヤル、6.3mmアンバランス、4.4mmバランスです。
手元に来てより思いますが、このデザインは秀逸ですね。
デスクトップの環境に自然に馴染みますし、邪魔にならない。狭い隙間にもスッと入るコンパクトさが光っています。
背面には4.4mmバランス接続、可変&固定スイッチ、RCA、USB-C、ACアダプター用端子が備えられています。
接続方法
今回もお馴染みエレコム製のUSB-C to C オーディオケーブルでPCと接続します。
ZENDAC3のUSB端子は3.0対応ですが、2.0でも接続出来ます。挙動に関する不具合も無し、遅延も無しです。
※USB-A to C はこちら。
電源は純正のiPower II。
入ってくる電気ノイズとまったく同じ信号を、正反対の位相で発生させ低~中域ノイズをキャンセル、さらにパッシブフィルターで高域ノイズの干渉を抑えるという優れモノです。
音質
曲は中塚武&土岐麻子の「Your Voice」。
ATH-ADX3000を6.3mmアンバランス接続で聴いてみます。※WinPC接続、Xベースやパワーマッチ機能は不使用。排他モード使用。
なるほどなるほど。
これはかなりオーテクに合いますね。
どちらかと言えばクール寄りで中高音域に特化しているような音質ですが、迫力も両立しています。典型的なドンシャリか?と言われると違っていて、フラット傾向に少しの低域、そして中高音にしっかりと味付けされてる感じ。
解像度が高いのに解析的なムードにならない、リスニング向きのサウンドです。
スウィングジャズ調の騒々しさと音圧がしっかりと表現されており、ベースやドラムもしっかりと主張してきます。金管楽器も違和感なく空間に響いていて鮮やか。
ボーカルもスカッと抜けてきて気持ちが良く、嫌みが無く刺さりも少ない。
唇の震えや発声した時の空気圧まで伝わって来るような表現は秀逸です。
この値段でこの音ならば、文句無し!ですね。
エントリーとして考えるなら、10万円位までのヘッドホンは大体楽しく鳴らせるでしょうし、不満が出ないと思います。
イヤホンはどう?
手持ちの機材であるSE425(20Ω)とSE846(9Ω)を3.5mm→6.3mmに変換し、接続してみました。(変換プラグは付属品)
音量はかなり取りやすいですが、大きすぎたり雑味が出たりすることも無く、気持ちの良い音が鳴っているのでイヤホンでも同じような感覚で使えます。
両機でも大丈夫だったので、例えばVR3000(18Ω)やSE215(17Ω)などの市販オーディオメーカーの有線イヤホンは大体使えると思います。
XBASSとPowerMatch機能
まずはXBASSですが、ありがちに低域が支配的になったり、高音が歪んだり、音質の特性自体を大きく変えてしまうものではなく、あくまで自然に低域を増強します。
開放型やドフラットなモニターイヤホンでも「低域を盛って楽しく聴ける」ので重宝しています。
PowerMatchは平たく言うとハイゲイン機能ですね。
オンにすると音圧が上がります。60Ω位までのヘッドホンでは使用するシチュエーションはあまり無いと思います。
ちなみに50ΩのADX3000だとオフの場合12時位置くらいで十分音量が取れますが、オンにすると9時位置あたりでも十分になるので、100Ω~150Ω位のヘッドホン向けだと思います。
排他モードは必須
非排他で聴くと、正直本領発揮出来ていない印象が強いです。
これはPCオーディオでは仕方ありませんが、一段階音質が落ちてしまいますね。
具体的には音が痩せて聴こえますし、ZENDAC特有の音質傾向が押しつけがましく感じます。こちらで評価すると値段との関係で不満が出やすい・・・。
さらに専用ドライバーとファームウェアを入れていないとより悲惨。
ZENDAC買ったのに思ったほど音変わらないんですけど!というケースはこの部分のわかりにくさが原因かと思います。
※排他機能についてはこちらで詳しく書いてます。
ドライバーとファームウェア
実は購入して最初は製品仕様がわからず、ノンドライバー、ノンファームウェアで聴いていたんですよね。
その時の正直な感想は、
「一万円代のDACと同じくらいの音質じゃん、コスパ悪っ」
でした。
当然です、全部必要なものが入ってないんだもの。
ドライバー=DACを動かす専用システム
ファームウェア=DACの不具合解消、アプデでの音質改善
そこで、ドライバーとファームウェアを入れる作業を始めたのですが、これがややこしい。一応手順と場所を書きますので、困っている方がいれば参考にして下さい。
※環境はwin10です。大前提として、付属の説明書ではなく公式から日本語マニュアルをDLしておくことをおすすめします。
場所(仕様の下)→ZEN DAC 3 | iFi audio 日本語ブランドサイト
【ドライバーの入れ方】
Windows用ASIOドライバー | iFi audio 日本語ブランドサイト
上記のリンク先から最上段のWindows用 ASIOドライバー 5.57verをダウンロードします。
そして、その下にある【インストール手順】に書かれた通り進めて適用します。
PDF→how_to_install_5.57_ifi_drivers_jpn.pdf
ドライバーについてはこれで完了。割と簡単ですね。
接続先がiFi (by AMR) HD + USB Audio、もしくはAMR HD + USB Audioになっていれば成功です。
【ファームウェアの入れ方】
さぁ、ここからが大変です。
まずはiFi audioの英語版サイトのファームウェアハブへ。
Download Hub | Software and firmware for your iFi audio devices
ZENDAC3を選択して虫眼鏡マーク横にシリアルナンバーを入力します。シリアルナンバーはパッケージ裏右下のシールに記載されています。
はい、入力するとドライバーとファームウェアが生えてきます。
ドライバーは共通ですが、ファームウェアは日本語サイトでは公開されていないVerです。ZENDAC3発売後に公開され更新されているのもこちらです。
DLして適用するのですが、このページには方法が記載されていないので、日本語サイトの説明を流用します。
ここに書かれている「Windowsでのファームウェアアップデート方法」そのまま進めます。(先にファイルを展開するのをお忘れずに)
ログにFirmware uppgrade finished successfully と最後に出れば成功です。
以上です。
マジでややこしいですよね?
MODや同人ゲームを嗜んだことがある紳士ならそこまで苦労はしないと思いますが、もう少しわかりやすくして欲しい所です。
iPower II(純正電源)って必要?
結論から言うと、
ハイエンド機材で音楽をメインに聴くなら必要。
ミドルクラス以下でゲームをしたり音楽以外も楽しむなら不要。
例えば、SE425やAD700Xではそこまで違いは感じませんが、SE846やADX3000では微妙に違いを感じます。具体的には低域に張りが出て中高音の雑味が減ります。
100が105位になったくらいの変化なので、一万円越えのACアダプターを買う動機になるかは・・・なんとも言えません。
私は自作PCでも電源は余裕を持たせたい派なので、ハイグレードの純正電源があるなら買うという選択肢しかないだけで、あまり押し付ける気は起きません。
基本的には、聴いているうちに「欲しくなったら買う」位が丁度良い製品だと思いました。
※iphoneやipadに繋ぐ時の安定電源として~とHPにも書かれているので、そのような環境の方が効果を感じやすいかもしれません。
まとめ
実際に買ってみて思ったのは、単純にコスパで語る製品ではない。ということ。
第一世代は2万円以下で買えていましたが、本機は定価が44000円。
価格帯が変わり競合も増えたことで、ライトユーザーの選択肢には入りにくい現状かもしれませんね。
ただ、ふわっとした意見になりますが、iFi audioの音はピーキーながらもトラディショナルで、その絶妙な塩梅が常に心地よさを感じさせます。
何を聴いても良いし、何を観ても良い。もちろんゲームも。
多機能かつハイグレード&ハイコスパな製品が今後出ても、私は同価格帯ではZENシリーズを選び続けると思います。
となると、次にいくのは20万円クラスか・・・、いやその前にZENCAN増設する・・?
なんて思い始めているので、沼の入り口になっていることは間違いありません。
感性が合えばこれ以上ないコスパを発揮するDACアンプなので、良ければみなさんもZENDAC3を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
本記事は以上です。
お読みいただきありがとうございました!
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