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ド直球のオーテクサウンド!ATH-ADX3000 実機レビュー【audio-technica/開放型/有線ヘッドホン】

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はじめに

実は私、10年以上愛用しているヘッドホンがありまして・・・。

それがこちら、ATH-AD700Xです。

くたびれてるってレベルじゃないほどエイジングが進んでいますが、余裕で1000時間以上聴いて来たお気に入り。(イヤーパッドは二回交換してます)

 

カッチリ美麗な中高音と聞き心地の良さを両立していて、これぞオーテク!という隠れた銘機的ヘッドホンなのですが、流石にそろそろアップデートしたいという欲が出てきました。

そこで、ハイエンド帯で新しく出たATH-ADX3000を見た時に直感で「あ、買おう」と思ったので、ポチってみました。もやし生活の始まりです。

 

オーテク好きなので褒め要素多めになると思いますが、実機レビューをしていきます。良ければお付き合いください。

ATH-ADX3000 レビュー

デザイン外観

実機はマットでブラック系統のカラーリングですね。

かなり渋いのでオーテクなのにオシャレなんですけど?という感情が湧いてきます。心なしかゼンハイザーに少し寄った印象。

お馴染み独自規格のA2DC端子。

海外のYoutuberでさえ「いつものですね・・・」と前置きを入れ、広報の担当者さんでも「あの、いつもの・・・」と前置きが入るやつ。

 

独自規格の良さはオーディオに馴染みが深くなるほど、ありがたみがわかってくるので好きですよ、私は。(公式のリケーブルは早く増やして欲しい)

ヘッドバンドとイヤーパッドはフカフカのベロア調素材で出来ており、バンドの内側には気持ち程度のクッションが入っています。

重量が257gとのこともあって、めちゃくちゃ軽くて快適です。なぜか着けている方が楽に感じるほどフィット感が抜群。

58mm径のドライバーの外側部分。

枠にはパンチングが施されており、淀みなく空気を逃がすことで開放型特有の純粋で自然なサウンドを生み出します。

AD700X(左)との比較。

こう見るとウイングサポートってデカかったんだなと思いますね。無駄が省かれています。

 

あと、ヘッドホンハンガーなどに吊るすとイヤーパッド同士が干渉して型崩れするのが不便でしたが、AD3000Xは平行にピタッと収まっているので嬉しい。

音質

ついでにZENDAC3も買ってみたので、6.3mmアンバランス接続で聴いてみます。

※WinPC接続。排他モード使用。

 

う~~ん、音が硬い!

 

オーテクの開放型シリーズは箱出しの音が硬いのなんの。

金属的な響きがキンッキンで耳が痛い。というわけで、慣らしで20時間ほど音楽を流してから、アニソンからロック、ジャズ、クラシックまで幅広く聴いてみます。

 

やはり最も特徴的なのは代名詞とも言える「突き抜けて来る高音」。

アイドルソングであってもアニソンであっても、歌謡曲でも、オールドなジャズでも問答無用で鮮烈。ウォームさの欠片もありません。

 

ボーカル表現に関しては刺さるか刺さらないかのギリギリを常に攻めており、美麗、シルキーというよりは「キレ」「生っぽさ」に近く、ギターや弦楽器は適度な艶感と鮮明さで聴き心地が良い。

 

低音は基本的に控えめですが「遠くでうっすら鳴ってるな・・」という開放型あるある的な音では無く、存在感がありながらも長時間聴いても疲れない絶妙なバランスだと思います。

 

ちなみに、機材の設定次第(XBASS)ではしっかりと重低音の一歩手前位まで追従し、密閉型のような厚みまで感じさせてくれるので、ロックやジャズでも迫力を損なわずにリスニング出来ます。

 

簡潔にまとめると、寒色の中高音域特化。

音場はそれほど広大では無く、どちらかと言えばモニターライクな定位感。頭の外近くに音の出る場所が固定されているような印象。

 

そして、大前提としてスカッと抜けたキレキレな高音の表現が合うかどうかが、オーテクの開放型にハマるかどうかと言っても過言では無いと思います。

 

【追記】エージング200時間超えて

音のメリハリと厚みが増し、シンセやキーボードが遠くで被っていてもハッキリ掴める等、モニター寄りの要素が多分に出てきました。

音場に関しては「自然さ」より「捉えやすさ」という本機のキャラがより明確に。FPSゲームの足音、発砲音の位置や距離がとにかく掴みやすい。

高音に関してはそれなりに落ち着いてきたことで、よりボーカルの艶やリアルさを感じられるようになりました。刺さりも薄れたので音量を上げて聴くことが出来ています。

おすすめジャンル

【合うジャンル】

クラシック(特にピアノ協奏曲)、ジャズ、アニソン

【合わないジャンル】

重めのハウス、生録アコースティック系、K-POP

 

ピアノの際立つ音の粒感と響き渡る高音が最高です。ハープと管弦楽の演奏アルバムであるHandel - Tailleferreもこれ以上無い位に合いますね。

あとは、混声のオペラも音の被りが綺麗でスピーカーとはまた違う魅力的な体験が出来ます。

 

逆に合わないのは、低音が支配的で重心が低いハウス。生録っぽさを押し出したアコースティックも、弦のビビりや歌声の雑味を拾いすぎるので微妙。

 

ちなみにロックは楽しく聴けますし、アニソンも煌びやかさが良く合います。

推しがそれっぽいヘッドホン着けてマイクに吹き込んでいる幻覚が見えるので、声優さんコンテンツにもかなりおすすめです。

 

※余談

オーテクにハマったきっかけはT中H和氏の楽曲と相性が良かったからなので、彼の楽曲は全て合います。「灼熱スイッチ」とか「PUNCH☆MIND☆HAPPINESS」とか。

DAPでも聴いてみる

ZENDAC3はややクール傾向なので、ウォーム寄りのSONY WM1AM2でも聴いてみます。ADX3000は50Ωということで、DAPやポタアン環境での使用も推奨されています。

 

折角良いヘッドホンなので、変換もちょっと良い物を買ってみました。

フルテックの6.3mm→3.5mmロジウムメッキ変換アダプターCF35です。

デザインがめっちゃ良いですよね。

黒の部分は制震素材のカーボンファイバーになっており、光を取り込んでキラキラしています。

安物の変換プラグだと3.5mmはグラグラしたりするのですが、ビシッとしていて安定性が凄い。6.3mmプラグを挿入する際もスルッと滑らかに入るので、傷を付けたりせず安心です。

えーー・・・・WM1AM2の圧勝ですね。

価格帯や用途が違うので正しい比較にはなりませんが、ADX3000の特性とウォームで滑らかなWM1AM2の音質があまりにも合っています。

 

音量も取りやすくローゲインで最大120に対して80位で聴けるのも素晴らしいですね。確かにこれなら大体の環境でもとりあえず聴けそう。

 

ZENDAC3はより長所を伸ばした印象ですが、WM1AM2は弱点を全て消し去っており、どこまでもピークを感じさせない余裕のサウンド。バイナルプロセッサーとの相性も良く、アナログ感との調和も素晴らしい。

 

ただ、密度が濃いがゆえに胸やけしやすいサウンドだとも思うので、好みは分かれると思います。例えばこの音質で映像コンテンツを観たり、ゲームするのは違う気がします。

 

とはいえ、改めてWM1AM2の音の良さも再確認出来ました。

お互いの性能を限界まで引き出し合っているベストなマッチングです。

おすすめヘッドホンフック

どうせなので、安くて使いやすいヘッドホンフックを紹介します。

いつものサンワサプライです。

大体1000円という低価格ながら、作りがしっかりしていて丈夫。

丁度良い幅の広さで、ヘッドホンを掛ける部分はなだらかなアーチ状になっているので、ヘッドバンドを痛めません。

掛けるとこんな感じ、ADX3000でも余裕があります。

奥にしまうことも出来るので、様々なデスク環境で活躍します。

地味に便利なのがこの輪っか。

ADX3000のケーブルは3mあるので、この輪っかに通して実際は1m50cm位で使う。という絶妙な調整が簡易的に出来るので便利です。

実寸3.8cmまで対応、デスクに挟み込むだけのシンプル設計。

こういうので良いんだよ、こういうので。

まとめ

オーテクのヘッドホン、オーテクの作る音はその「煌びやかさ」と「正確な音場表現」によって、どこかのタイミングでトリップさせられる瞬間があります。

 

ただのミニマルな中高音域特化かと思いきや、突然生々しい音が耳に飛び込んで来たり。今まで感じたことのないグルーヴを生み出し、ライブ会場や録音の現場に連れて行ってくれたり。

 

私が好きなのは、そのような素っ気なさと豊かさが同居する部分であって、長く愛用できる一つの理由かもしれません。飽きないし、どうやったら良い音になるか考える楽しみがあります。

 

究極「どう使うか」というユーザー次第な部分が大きいヘッドホンということですね。

 

ADX3000は職人気質なこだわりと音へのロマンが詰まっている、オーディオテクニカ渾身の開放型です。

ぜひ聴いてみて下さい、ハマると抜け出せない魅力がありますよ。

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