SE846とは
世界初のローパスフィルターによる圧倒的な低域と、遮音性に優れたSHUREのフラッグシップモデルです。2013年に発売されましたが、現在でも同価格帯では他に追随を許さないモニターイヤホンです。
買ってしまいました。ついに。
やはり迫力と臨場感、質の高い低音が欲しいという思いが日々募り、使用していたSE425と同じSHUREのフラッグシップモデルを購入しました。
まずは簡単にSE846について説明してから、ノズルごとの音質と変化、おすすめイヤーピースについても詳しく書きたいと思います。
※ケーブル、イヤーピースは交換しています。
ローパスフィルタ
私が特に惹かれたのは、このローパスフィルタ。
ざっくり説明すると、このうっすい板が迷路みたいになっていて、余分な音を除いてクリアで迫力のある低音を耳に届けてくれる・・・みたいな感じです。
こちらの公式動画がわかりやすいです↓
このローパスフィルタの低音があまりにも特徴的で、今まで聞いてきた曲も改めてウーファーを設置して聴いてるような感覚になります。
全体的な音質
モニターライクに素直に表現しつつ、SHUREサウンドを限界までチューニングしたような強烈な迫力と臨場感があります。
4基のドライバーがそれぞれ音を出すので、分離感も良くそれぞれの楽器のパートがはっきりわかります。高音や細かい音もしっかり出るのでボーカルの声、息遣いをさらに近くに感じます。
SE846を使い出して、この曲もうちょっと迫力とかボーカルが近くに感じられればなぁ・・と思うことがほぼ無くなりました。
ノズルインサートについて
左からバランス、ブライト、ウォームです。
これを
こんなふうに
換装することが出来ます。
付属の工具で左回しするだけなので、とても簡単です。1分もかかりません。
このノズルインサートですが、換装するとかなり音が変わります。
購入してから数十回こっちの方が良い、いやこっちが・・と様々な曲で試したので、その結果。ノズルごとにどのような曲が合うか、それぞれの変化とともに紹介したいと思います。
バランス(青)
最初から入っているノズルで、名前の通りバランスよく聞こえますが、基本的に低音が強くサビ以外のボーカルは少し埋まりがちです。
ですが、低音の中からふわっとボーカルが浮き出てくるような、実際のライブ会場で聴いてるような臨場感があります。これは唯一無二の魅力です。
バンドサウンドはこれ以上無い位に合いますし、ポップソングにももちろん合います。まさに万能です。
ブライト(白)
このノズルじゃないと絶対ダメ!という根強いファンが多いノズルです。
低音が締まり、ボーカルはくっきりし、高音は伸び、解像度の高い強烈な音になります。
確かにこれは体験すると戻れない音かもしれません。
しかし、難点が一つありとにかく「サ行」が刺さる。
対策と言いますか、このノズルで快適に聴くには、ハイレゾ音源、もしくは元から耳に優しい刺さらない音源が必須。という結論に至りました。
MAISONdesの曲はこのノズルで聴くと軒並み素晴らしいです。特化型ですね。
ウォーム(黒)
低域が沈み込み、暖かみのある雰囲気になります。
すごく品が良いというか、合う曲には合うという印象です。
カントリーやガレージロック、ジャズなどには相性抜群だと思います。個人的にはかなり好きでした。
アニソンのようなポップな曲には向いていませんが、ジブリのサントラなどを聴くのには良いかもしれません。
刺さりもほぼ無くなるので、しっかり聴こえてるのに聴き疲れも少ない。
チル用という印象です。
総評
サブスク含めてオールマイティに使いたいならバランスノズル。
ハイレゾ音源をアルバム単位で聴くならブライトノズル
休日にゆっくりリラックスしたいならウォームノズル
です。
結局私も定まらず、普段はバランスで聴き、このアルバムはブライトで聴きたいなと思った時は入れ替えています。ウォームは今の所出番無しです。
面倒な人はバランス一択です。特化型でないだけで不満はほぼ無いので。
第二世代の新ノズル
第二世代はエクステンドノズルというバランスとブライトの間の赤色のノズルが付属します。
これで全て解決するのでは?と思い一応試聴に行きましたが、確かに中間なのですが正直中途半端な印象でした。
これだったら、バランスのほうが深い低音を味わえる、ブライトの方が強烈なノリの良さと解像度の高さが楽しめる、と思ってしまいます。
あくまで、入れ替えなしで考えた場合の最適解という印象です。
入れ替えが面倒な人は、またバランスノズルとエクステンドノズルで迷うことになりそうです。
個別販売はまだされていないので、発売されたらすぐに買って、また長期間試してみたいと思います。
【追記】第一世代と第二世代の違い
こそっと書きますが試聴時に店員さんに聞いた所、第一世代と第二世代での違いはほぼエクステンドノズルのみのようです。
・新たにハイレゾ認証を取ったが、内部は変わっていないあくまで認証の取り直し
・エクステンドノズルが新たに付属
・カラーバリエーションが増加
・XSサイズのフォームイヤーパッドが追加
後ろ三つについては、変更点として販売サイトの製品情報にも書かれています。
これだけを見ていると、昨今の事情による値上げの理由としてのマイナーチェンジでは?と思ってしまいます。あくまで個人的意見ですので、ここは各自判断して下さい。
エクステンドノズルに興味が無くて、カラーも何色でも良いよって方は、第一世代で十分かと思います。在庫がないサイトでもセール時に出てくることがあります。
中古でも良いのですが、出来るだけ個人間取引では無く、修理もやっているような店舗の中古品を買うようにして下さい。あとが大変です。MMCXとかMMCXとか・・・。
※SHURE SE846は20khzまでの対応と記載されていますが、表記だけの問題でハイレゾ音源もしっかり鳴らせることは有名でした。しかし、ハイレゾ非対応商品として市場には並んでいたので、改めて手間とコストをかけて認証を取ったことによる価値は大きいとは思います。
※第二世代の方が低音に締りがある、音が違うという意見(主に販売側)もありますが、出荷時に標準でエクステンドノズルが装着されているので当然です。
イヤーピース
SE846はイヤーピースでも大化けします。
元々の設計から遮音性が高いからでしょうか、イヤーピースの影響をモロに受けます。
そのイヤーピースに関してもかなり試行錯誤しました。
私の求める条件は三つ
・遮音性が高いこと
・低音がしっかり出ること
・ボーカルにしっかり焦点が合うこと
です。
耳の穴の形が左右違うので、フォームタイプが多めです。純正含めてそれぞれレビューしますので、良かったら参考にして下さい。
左から、コンプライTSX、SHURE純正ソフトフォーム、コンプライPシリーズ、SHURE純正シリコンです。
コンプライTSX100BLK
球体形状で先端の広い、アジアンフィットタイプ。独自素材の低反発ウレタンの本体を潰してから耳に入れます。
私の耳にはこれが一番合いました。遮音性もバッチリ。
しっかりとフィットするだけでここまで音が良くなるのかと驚きました。
低音はしっかり出ますし、高音も邪魔されずに出ていて、ボーカルにもピッタリ焦点が合っています。難点は耐久性のみ。寿命約2ヶ月。
SE846を使用するにあたって、微妙にあった不満点を全て解決してくれたエース的存在です。
耳垢ガード付き。
SHURE純正ソフトフォーム
通称【弾丸】
そのネーミングと同様に、どこまでも素直で抜けの良い音です。
まさにモニターライクな音でこれがプロユースとしてのSHUREの答えだ。と言わんばかりです。低音は抜けの良さとトレードオフなのか、コンプライほどの迫力はありません。
潰して入れるタイプですが、フィット感はコンプライほどではありませんが十分です。
何より耐久性が段違い、多分コンプライの三倍くらいは持つと思います。
耳垢ガード付き。
コンプライPシリーズ
究極の遮音性です。最初はこのイヤーピースをずっと使用していました。
本当に何も聴こえない、音楽を鳴らしていないのに。音の出る耳栓みたいな印象です。
音自体は、少しこもっていて低音が強調されます。ボーカルにはきっちり焦点があっていて、アニソンを聴いていてキャラや声優さんの声を一番身近に感じることが出来ました。
難点としては、耳の奥まで入る形状なので長時間使用していると、耳の奥が痛くなることが多々ありました。
悩み、たどり着いたのが上記のTSXだったというわけです。
SHURE純正シリコン
TSXと同じ形状なので、フィット感は抜群です。シリコンなので耳が痒くなったりもあまりありません。低音がよく出ますが、高音がちょっと詰まった感じがあり、SE846には合っていないような印象を受けました。SE425にはちょうど良く感じますね。
以上です。
TSXはアジアンフィットなので多くの方に合うイヤーピースだと思います。
特に私のように耳の穴の形が左右違っていて、なんか定位がおかしいなぁ、片方が低音弱く聞こえるなぁ、と思っている方は試す価値があると思います。
※2024/1/2、TSXシリーズの廃盤を確認しました。
【追記】純正イヤーピースがコンプライに!?
SHUREとComply共同開発のイヤーピースが発売されました。元純正の弾丸は廃盤になるようです。耐久性も高くしっかりとしたフィット感のあるバランスの良いイヤーピースに仕上がっています。値段も3つセットで安いので、現段階では一番おすすめです。
追加でスピンフィットも試してみました。
まとめ
SE846はノズル選択とイヤーピースで大化けし、ケーブルも意図的に選べば思った以上の効果が出るイヤホンだと思います。
20万近くするハイエンドイヤホンではありませんが、ハイエンド入門に適し、
人によっては最後のイヤホンにもなりうる、素晴らしい製品です。
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