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ストーリーがかなり微妙な凡作【FF16/ファイナルファンタジー16/クリアレビュー/PS5】

※本記事のリンクには広告が含まれる場合があります。

※ネタバレありです。

※やや否定的な記事になりますので、本作に思い入れのある方、否定的な文章が嫌いな方は読むのをお控え下さい。

はじめに

クリアまで39時間、サブクエスト、武器製造、リスキーモブは全てこなした、一週目のレビューになります。元々トロコンするタイプではないので、普通に遊んだ結果に近い状態かと思います。

 

バトル☆☆☆☆ キャラ☆☆ ストーリー☆☆ グラフィック☆☆☆☆ 音楽☆☆

総合74点

 

なぜこのように凡作と評価したのか。

それは、ストーリーがかなり微妙だったからです。

 

具体的には大筋のストーリーではありません。ラストまでの過程への説明不足、無駄な時間軸、クライヴ含めた設定の矛盾などが、あまりにも目立っているのです。

 

順を追って書いていきますが、本記事はストーリーメインのレビューであり、前半は特に画像も無く文章自体が長いです。

 

なので、ネタ的に雰囲気だけ知りたい方、ラストの考察にだけ興味がある方は目次から飛んで、「アレな演出まとめ」あたりから読んで下さい。

テンポ重視の構成と矛盾

体験版以降、序盤~中盤は駆け足で進んで行きます。

この駆け足を補うために、ストーリーや世界観の補足はサブクエストや会話の中の選択肢に入っていますが、それでも説明不足感が否めませんでした。

 

特に説明不足に感じたのが、クライヴのベアラー(奴隷)に対しての感情です。

クライヴのベアラー時代に受けた扱い、その当時の仲間達との出会いと関係性についてもう少し描写があれば、もっとクライヴの感情を推し量ることが出来たと思います。

 

この部分に突っ込まれることを認識しているのか、後付けで【ベアラー同士は会話することも出来ず監視もされていたのでまともに交流することも出来なかった】という設定がありますが、サブクエストでは他拠点のベアラーでも普通にクライヴと喋ったり、普通に軍事ベアラー同士喋ってるので、明確な矛盾です。

 

岩に潰されたビアストについても、序盤以降一切クライヴの口から語られないので、上記の設定から交流が薄くそこまで親しくない関係と考えることが出来ます。

 

だとすると、なぜ軍事ベアラーとして戦い人を殺し使い捨てられた仲間を沢山見てきたはずのクライヴのトラウマを刺激し、過去へのオーバーラップへと誘ったのが不明瞭です。

 

さらに、過去編の終わりはジョシュアを殺した相手に対しての恨みの絶叫で終わり、「また・・・(繰り返してしまった)」という言葉は助けることの出来なかったジョシュアにかかることになるので、クライヴにとっての深いトラウマはジョシュアの死という認識になります。

 

この時点で、ビアストをきっかけにしてオーバーラップをして過去を振り返る。という行動原理に繋がらないという二重の矛盾を抱えています。

 

これらの矛盾の面白い所は、脚本を書いた人自身は、

 

「ビアストとは仲が良かったという裏設定で、クライヴは同じ境遇の仲間が死亡したことによってトラウマが刺激された。そして、それが過去編の救えなかった思いに繋がり、後のベアラーに対する思いにつながる。」

 

と思っているのに、後付けの設定でそれが否定され、最後まで重要なフックである「人が人として生きれる場所」という言葉を軽いものにされてしまった可能性があるということです。

なろう的主人公クライヴ

その後、特にベアラーに対する思いや、当時の境遇についても大した掘り下げが無いので、クライヴは初めからベアラーのことはそれほど重要では無く、ジョシュアの仇を討ちたいだけの主人公としてストーリーが進みます。

 

そのような状態で「俺を認めたらドミナントとして覚醒しちゃった、人が人として生きれる場所をつくる」とかいきなり言われても、なんでこの人急にベアラーに寄り添いこだわり始めるのかが意味不明で感情移入しにくいです。

 

要はプレイヤーを置いてけぼりにして、勝手に覚醒して力を手に入れて急に悟って、周りからも評価される、まさになろう的な「俺何かやっちゃいました?」系主人公に終始見えてしまうのです。

ベアラー=奴隷という設定の甘さ

中世ヨーロッパと定義的に同時期に当たる、奈良時代から平安時代までの日本にも大陸文化を模倣した奴隷制度があったことはご存じでしょうか?

 

その価値は畑などの資産&所有品に近く、一般市民の三分の一の田畑が与えられ、奴隷同士の結婚も認められており、納税の義務は免除されていたようです。

そして、家長であり所有者であっても、罪なき奴隷を殺したものは懲役三年の刑を受ける決まりでした。

 

ここでFF16に話を戻しますが、この世界の住人はベアラーを殺してもお咎めなし、使い捨ての道具として扱っています。さらに憎悪の対象として扱われ、当時のヨーロッパの文化がベースと考えても極端に非人道的です。

 

最近の研究では、知的労働に従事していた奴隷の存在も確認されており、地域によっては自由に出歩くことも出来たそうです。

本編でも器量の良さを見込まれて重宝されていたベアラーもいましたね。

 

要は、弱い立場の人々を生み出しストーリーに波を作り、現代的な過剰に膨らまされた問題をスパイスとして扱うような、リアリティが薄い手法に感じました。

 

もちろん、これはゲームなのでそこまで突っ込む必要もありません、難民が押し寄せて「大変だなぁ」と言う顔でぼんやり眺めているクライヴに対しても、「いや、君のせいでしょ」とも言いません。

 

このように、政治的問題も含んだ作品に表面的に見せるのであれば、最後に全て壊すのでは無く、もう少し現在の世情も踏まえてスクエニとしての答えを知りたかったですね。

実力行使の肯定

マザークリスタルを破壊し、汚染された地域を救い、階級制度を破壊し、平等な世界を目指す。クライヴ(シド)の行動はまさにテロリストです。暴力革命ともいえます。

 

破壊した結果、確かに目指していた世界へ向かうことには成功していますが、その陰で多くの人が死に、世界は混迷する暗黒時代へと突入します。

 

この行動にならって、今の世の中が正義と言うならば我々は悪だ。とクライヴは悪人を自称します。

この「悪人」とは彼の中では正しいことを行う人であり、いわば逆の正義でしかなく、暴力を用いた革命によって自らのエゴを晒しているのです。

 

事実として、各地の奴隷を集め人員補充し、空いた土地に勝手に入植させ、武器を作り、クライヴの「人が人として〜」という言葉でまとまり、破壊活動(聖戦)を行う。

 

そのような人、そのような反体制派テロリスト集団を、正直格好良いとは口が裂けても言えませんし感情移入出来ません。

そして三十路へ・・・

中盤に入る前にシドが倒れ、最初のマザークリスタルを壊し、そこから五年の歳月が過ぎます。

 

この時間軸の使い方自体は、海外ドラマを意識したような作りでとても良いと思います。ですが、冷静に考えたのですが・・・

 

この段階で、主人公とヒロインが揃って三十路なんですよね。

 

クライヴ33歳

ジルは恐らく29~30歳

 

おいおい・・・と思いました。感情移入出来ないでしょ・・・。

しかも、この設定を活かせているとは思えないような内容でした。

 

海外ドラマである、【ヴァイキング~海の覇者〜】を例に出しますが、時間が経過し世代が変わった際には、

 

・主人公やヒロインの見た目に大きい変化が生じている。

・ヒロインとの関係が変わっている、離縁復縁など。

・環境が変わり周囲の人に影響が生じている。

・意思を引き継ぐような後進にあたる登場人物が登場する。

 

など、人間関係に大きな変化が生じます。そして、その変化からストーリーが大きく動き出し、相関図に深みを持たせます。

 

ではFF16ではどうでしょうか?

確かにクライヴがシドとして活動していたり、刻印が消えて少し老けていたり、拠点が飛空艇になっていたり、大きく世界の構図が変わっていたり、重要な変化が見られました。

 

ただ、人間関係に関してはそれほど変わっていないのです。

特にジルに関しては酷い有様です、見た目もさほど変わらず、しかも・・・

 

クライヴとの関係が進展していない

 

世界は混沌とし、この五年の間に二人には様々な試練があったはずです。

そこで支え合い、お互いのことを深く愛するようになっていても良いはずです。

 

壮年の2人にとってはあまりにも不自然で、ただ時間が過ぎました、少し顔が変わりました〜では説得力が無いのです。

 

例えばですが、五年後から始まる際に、

朝、ジルがそっとクライヴのベアラー刻印があった場所に触れることでクライヴが目覚め、二人の関係が進展したことを示唆する。

そして、不意に鳴るドア。着替える2人、名残惜しそうに見つめるジル。

 

このような形でも冒頭のシーンに繋げることが出来ますし、二人の関係性としては自然です。なにより、後半になるにつれてどんどんジルが空気化していき、この人不幸体質な秘書ですか?みたいな状態になるのは避けれます。

 

ゲームシステムとの兼ね合いもあるとはいえ、攻めた内容でも今回のFFは受け入れられたと思うので勿体なく感じました。

 

ちなみに、こちらも後付けの【クライヴとジルが深く繋がるとシヴァを取り込んでしまう】という設定がありますが、かなり終盤に明かされるので、二人は知らなかったと考えるのが妥当です。

 

さらに言うと、クライヴは召喚獣を取り込めることを序盤から認識しているので、終盤に「この手があったか」と気付くのは不自然です。本当にジルの体を思いやるなら、早い段階でその方法は思いつくはずです。

 

急に「君と生きるために・・」とか言われても、普段忙しくて家庭をないがしろにしてる男に都合よく解釈されて、自己完結された感がありますね。

 

その後の、ジョシュアの右ストレートからの「ジルを泣かせたね」というセリフに全て詰まっているような気がします。

アレな演出まとめ(ネタ要素多め)

ペルソナな覚醒シーン

「我は汝・・・・」と言いだしたときはかなり驚きました。

語りかけて来やがった・・これは・・・。

 

しかもワイルドと同様の、複数の召喚獣の能力を保持できる能力。さらにはスキルを習得するラーニング能力。※ネタです

 

うぉぉぉぉおおおお!!

って言って覚醒する時には「ペルソナぁぁぁーー!!」と言い出しそうで、かなりハラハラしてコントローラーを握っていました。

 

自己と向き合い、自己を認め、覚醒する。

まさにペルソナでした。

お笑いフーゴ・クプカ劇場

クライヴが牢屋に閉じ込められた際、クプカがクライヴの目の前でジルを処刑しようと画策していることが判明しますが、なぜかクライヴが不在の状態で普通に処刑が始まります。

 

いや、演出考えた人は数行前のプロット忘れたんですか?

 

処刑寸前にトルガルが助けに入るシーンを描きたかったのでしょうが、それならば、ジルがクプカと論争しクプカを逆上させ、「では、お前を先に処刑してクライヴの前に首を差し出してやる」という演出に変えれば良いのです。

 

その方が趣旨返しとなり、クプカの復讐として筋が通っています。

 

その後、ワンパンで気絶し連れて行かれる様は、

まるで新喜劇のような、ズコーーーッとなるシーンでした。

ヒステリックレイシストアナベラ

アナベラの行動はこちら・・・

・国を裏切り崩壊させクライヴを奴隷送り

・各所のベアラーを浄化と称し虐殺

・ディオンを煽り倒し謀反されて神皇死亡

・自分のせいなのになぜかずっと喚いて混乱している

・オリヴィエ死亡でメンタル崩壊

・発狂し息子たちの目の前で・・・

 

この人、ヤッバいなぁ・・・

 

しかも、クライヴはまだしも、一時期は可愛がっていたジョシュアにまで大して悲しまれることも無く、その後語られることも無く・・・・。

 

ただのヒステリックレイシストが考え無しに暴れまわって、自己完結しました。はい終わり。のような印象で、最後までヤッバいなぁ・・・以外の感想が出てこない人間性が浅い小物の悪役でした。

 

もっと、復讐に重みを持たせて欲しかったですし、元親子の愛憎劇が観たかった。

プレイヤーとしてもここまで数十時間かけてアナベラめ、と怒りを貯めていたのに拍子抜けです。

 

でも、クライヴ達の気持ちわかるよ。「・・・・・・・(汗)」ってなるよね。

プレイヤーとしてもそうだったよ。

あれ君魔法使えたっけ?

最終盤でジルとディオンが助けに来るシーンがあり、二人とも魔法を使い、敵を倒し、数十メートルジャンプしているのですが・・・

 

この人達もうドミナントじゃないよね?

 

なんで魔法が使えて超人的な身体能力を誇るのでしょうか。ドミナント以外で魔法使えるのは、ベアラーと加護を受けた人だけですよね?この二人ベアラーだったんですか?

しっかりクライヴに召喚獣吸われてましたけど・・・。

 

ディオンに至っては、オリジンまで飛ぶって言い出す始末。もう無茶苦茶だよ。

そして・・・

飛んだーーーーーー!!

撃ったーーーーーーーー!!??

ディオンーーーーーー!!!!!(泣)

もう無茶苦茶だよ(二回目)

 

にいちゃん・・・なんでディオン死ななあかんかったん?

 

せつこぉ、それはな制作陣が最初にこの三つ巴を描いててな、設定の矛盾がどうであれ、二人を運ばせてお役御免、ここで死なすつもりやったんや。決して、飛空艇とかコストのかかるものを作りたくなかったわけやないで・・・

 

なんでそんな残酷なん・・・?宣伝とか歌手とかにお金使うなら、制作費に使えばええのに・・・

 

もうええ、そこは触れたらあかん、あとは兄ちゃんに任しとき・・・二次創作でようさん描いたる、ディオンは永遠や・・!

ストーリーと絡まない音楽

序盤のクリスタル崩壊前の平原でのBGMがやたらと不気味で、これ間違って挿しこまれてない?とプレイ中ずっと気になっていました。

そして、崩壊後の同平原でのクエストを受け向かう時・・・あ、これこのシーン用というか崩壊後用BGMだ・・。と気付きました。

 

BGMを変えることで序盤と崩壊後の違いを出せる部分なのに、少なくとも使いまわしにする意図が掴めません。

 

タイタン戦終盤の大きくBGMがロック調に変わる部分も、正直世界観と全く噛み合っておらず、これは恐らくチームとして【やりたかった】部分だと思っています。

このようなエゴは重厚なダークファンタジーと自らを評するのであれば不要です。

 

他にも普通の会合シーンで壮大かつ神話戦争が始まりそうなBGMが流れ始めて、いや、そんなシーンかこれ?むしろBGM無しの方が映えるシーンでしょ・・。

と思っていたら早々にフェードアウトして結局無音になったり、どっち?どうしたいの?と思う箇所がありました。

 

総じて、どこか麺(ストーリー)に絡まない背脂なしの鶏ガラスープのような音楽だったと思います。

ラストの考察とストーリー総評

アルテマはエーテルを集め、クライヴを器とし【完全生命魔法レイズ】を発動することによって、世界を作り直し、創世を行うというのが目的でした。

 

その対として存在するのがクライヴです。

クライヴは人でありながらミュトス(神話)から「ロゴス」という人間の自然本性、そして神とも捉えられる存在へとなり、世界を創世したいアルテマと、世界を壊したいクライヴという構図へと変化していきます。

 

※神から一方的に与えられた起原がミュトスであり、ロゴスは真理とも解釈できます。

 

各国の神話の中では、宇宙の均衡を保つには両者のような存在が必要とされる記述が多くあり、最終決戦はまさにこの世の始まりを示唆するような内容でした。

 

クライヴの生まれ持った使命とは、破壊せずの創世を拒み世界の理を壊すことであり、人々の業と願いを背負い、その果てに神としての役割を果たすのです。

最後に月と消え行く星を見ながら・・。

 

このような、人類に「今後どう生きるのか?」を問いかける、原作ナウシカ的な放り投げエンドとはいえ、神話をベースにした創世と破壊、人の願望が作り出した破壊神クライヴの物語として終結させた点は美しかったです。

 

ラストの著作ですが、ヨーデが教団バックアップの元書いたと解釈しています。

クライヴやジョシュアが書いた説もありますが、そこまでご都合主義になると余計に話がチープになるので、この解釈が一番しっくりきます。

まとめ

基本的にFF16は、

ストーリーに矛盾が増え続けて無茶苦茶になったけど、最後は丸投げでなんとかした。

という、特大の粗をあえて目をつぶるのであれば、ゲームシステム、バトル、そして召喚獣のグラフィックが高水準の、良作JRPGだと思っています。

 

プレイ中頭の中では、39時間このような問答がずっと続いていました。

 

天使「なんだかんだ言って面白いじゃないですか?ゲームシステムも快適、バトルも面白い、そんな否定してたら信者さんに怒られますよ。ストーリーなんて無視無視。何も考えず楽しみましょう。」

悪魔「いや、ちゃうねん、設定が矛盾してる以上、大筋のストーリーも破綻してると同義なんや。わいは悪魔やからどうしても細かい所に気になって楽しめないんや。時折クライヴが何言ってるかわからんし、ジルは空気なんや・・・。」

 

まぁ、実際39時間も遊びましたからね、本当に出来が悪ければ数時間で辞めていると思います。体験版がピークなのは否めませんが。

 

そして、気になるのは二週目ですね。

追加要素もあるらしく、記念品も二つだけどうしても見つからなかったので、探したいですね。ここまで来るとストーリーとかは関係ありませんし。頭からっぽで楽しみたいと思います。

 

では、筆者はこれから「ファイナル・ファンタジー16」の二週目に向かいたいと思います。皆様も良い創世と破壊の旅を・・・・。

 

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