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ネットワークビジネスに勧誘された話【マルチ商法/潜入レポ】Vol.18

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【人物おさらい】

M・・・セミナー主催者であり、Yが「師匠」と呼び慕う人物

Y・・・ネットワークビジネスに誘ってきたフットサル場での先輩

R・・・Yの幼馴染で九州男児のようなイケメン

O・・・Yの兄弟子で巨漢の美容師

K・・・通称「ナンパ師」Yと同列の弟子

S・・・切長目のお姉さん系美人

U・・・ふわふわで明るいバラドル系女子

大規模ミーティング

都内の駅に現地集合し、その後お決まりの徒歩の移動が始まります。

ただ、今回はその規模が桁違いでした。

 

最初は数十人程度に膨らみ移動していたのですが、道路を挟んだ先に数え切れないほどの人の列が見えました。

超有名アーティストのライブ列かコミックマーケットでしか見たこともないような人の集まりです。どう見ても1000人はゆうに超えており、道路を埋め尽くし少しづつ移動しています。

 

Y「ああ、あれ全員ビジネスのメンバーだよ☆じゃあ合流しよっか⤴」

 

合流し進むこと30分ほど、気づくと周りは人だらけ。何も見えません。

そして、高架を渡った際、その大量の人が吸い込まれている建物が見えました。コンサートや大企業の講義、株主総会でも使われるような格式高い大ホールでした。

 

人に揉まれながら中へ入ります。案内された席は中央寄りでやや前方のいわゆる良い席でした。Yが言うにはビジネスの仲間に入ったばかりの人、その付き添いは良い席に案内されるそうです。

 

壇上に灯りが灯り、ミーティングが始まります。

中央に立っているのは、私の知らない別の「師匠」でした。

 

「みなさん!お集まり頂きありがとうございます!!本ミーティングでは新しくメンバーになった方への応援、そして、結果を出している「師匠」達を表彰する場です!」

 

ウオォォォォォォォォォオオオオォ!!!!!!!!!!

パチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!!!!

 

ホールが揺れるほどの異様な声量と熱気。

その歓声の中、結果を出した師匠達が次々と紹介されスピーチを行います。

 

そのどれもが、「愛」「勇気」「希望」といった内容で、創始者が発した「ドリームキラー」という単語も頻出し、「絶対仲間以外は信じるな」「疑いをかけてくるのはあなたが羨ましいから」など強く訴えかけています。

 

中には夫婦でビジネスを行っている師匠もおり、夫婦で続ける楽しさと難しさについても語られていました。それぞれのスピーチ内容で判明したのですが、師匠は数十人おり、そこから枝分かれでビジネスメンバーが構成されているようです。

 

そして、我らが師匠Mが登壇します。

同様の歓声に迎えられスピーチを始めるM。その姿は普段より堂々としており、会場の雰囲気も相まってまるで英雄が話しているかのように錯覚します。

 

Yは一秒も逃さんといわんばかりに瞬きもせずに凝視しており、少し目が潤んでいました。スピーチが終わり、壇上を去った後興奮しながら話しかけてきます。

 

Y「俺らの師匠って、やっぱすげぇなぁ!・・・俺もあんなふうになりてぇよ、もっと頑張らないとな・・☆」

 

大興奮の中、数時間に渡るミーティングが終わり会場を後にします。

どうやらMがこのあと顔を出すとのことで、近くの少し価格帯の高いファミレスにM直属の弟子が集合することになりました。

 

しばらくするとMが訪れ歓声で迎えられます。

 

M「しーっ、あんまり大声出さないでね☆今日はお疲れさまでした!みんなの為になるスピーチが出来たかな?最高だね、どんどん人生良くしていこう⤴」

 

弟子たちに囲まれ歓談するM。私はそのような気分になれず隅の方で黙々と付け合わせのポテトを食べていました。すると、Mが私の前に訪れました。

 

M「ちゃんと仲間になったんだってね、聞いてるよ!本当に嬉しいよ、君みたいな優秀な人と仕事が出来て☆これからもよろしくね!」

 

握手を求められ私が愛想よく対応していると、次第に他の弟子たちも集まって来ます、隣に座り前の席にも座り、あまり面識のない弟子もまた2人、1人は見張りのように立ったまま。あれ?これは前回と同じじゃ・・・。そう思って身構える前にMが口を開きます。

 

M「来週の土日に研修旅行があるの聞いてる?あれ?Yから聞いてなかった?」

 

Y「すみません、まだ言ってないです・・。」

 

M「そっか、じゃあ説明するけど、ビジネスに重要なことを学べる研修旅行になってて、基本的に弟子には全員行ってもらうことにしてるんだ☆君はどうかな?」

 

Y「スケジュール的には大丈夫のはずだよね?行ける?」

 

疑問形で聞いているがほぼ強制と言うことは理解しました。Yにはスケジュールを把握されているので用事などの言い訳で逃げようがない。

仕方が無いので、とりあえず行けると答えました。様子を見てドタキャンでも良いかと思ったのです。

 

M「よしオッケー☆じゃあ後はまかせるね⤴」

 

用が済んだのかさっさとMはSとUを連れて帰ってしまいました。他の弟子たちもまばらに帰っていきます。そして、残されたのは私と6人の弟子。

 

O「よっしゃ、とりあえず俺らも帰るか、途中で支払い済ませようぜ⤴」

 

Y「そうですね、行きましょう行きましょう☆」

 

支払い?なんのこと?と思いましたが、帰り道すがらYから説明を受けます。

研修旅行には宿泊費と研修費が必要で、2万円振り込む必要がある。だから駅のATMから振り込んで欲しい。とのこと。残り2万円で研修費を払わせるための30万円だったのか。

 

駅に着くと2人がATMに付き添い、残りの4人は見張りをしています。

支払いを済ますと、前回と同じように数人は勝手にいなくなり、残ったのはYとOとRのみ。

 

なぜあっさりと支払ったか、実はこの時気づいたのです。

土曜である昨日に契約、クーリングオフ期間は基本8日、研修は来週の土日(二泊三日)。

つまり、研修に行ってしまうとクーリングオフ期間が終了してしまう

 

ここまで計算されていることに気づき、恐怖とともに改めて怒りが湧いてきました。

 

研修旅行は付き添いでMはもちろん弟子も全員参加、それを逆手に取って全てを終わらせ脱出する決意を固めました。当日確実に現地集合させ、油断させる為にここは支払う必要があったのです。

 

怒涛の一週間が始まります。

 

ネットワークビジネスに勧誘された話【潜入レポ】Vol.19へ続く

※注意※クーリングオフについて

本編では8日と書いていますが連鎖販売取引(ネットワークビジネス、マルチ、ねずみ講など)のクーリングオフ期間は20日あります。当時の私の知識、環境を鑑みて書いているのでその点はご留意下さい。