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【人物おさらい】
M・・・セミナー主催者であり、Yが「師匠」と呼び慕う人物
Y・・・ネットワークビジネスに誘ってきたフットサル場での先輩
R・・・Yの幼馴染で九州男児のようなイケメン
O・・・Yの兄弟子で巨漢の美容師
K・・・通称「ナンパ師」Yと同列の弟子
S・・・切長目のお姉さん系美人
U・・・ふわふわで明るいバラドル系女子
後日談
山形はとても素晴らしい場所でした。
木工技術の粋が詰まった天童木工、藤子不二雄のSF短編集に出てきた山寺、現地で食べたお蕎麦の美味しさは忘れられません。
一泊した後、鶴岡の加茂水族館にて数時間クラゲを眺め続け東北旅行は無事終了。
そして、月曜の昼、都内へ戻った私は消費者センターに電話をかけていました。
クーリングオフ期間が終わり引き落とし予定日まで二週間。契約解除自体出来ているか念のための確認でした。
消費者センター「先方には強めにさっさと荷物を戻して契約解除するように伝えましたよ!間違いなく契約解除完了です!」
そして、引き落とし予定日にしっかりと契約解除されていることを確認しました。
これでクーリングオフに関しては終了です。
当初の目的、というよりけじめとしてフットサル場へ向かい、店員さんや一緒に通っていた友人達にYがネットワークビジネスの勧誘を行っていることを伝えました。
「えー!?本当に!?」「だと思ったよ!あいつ怪しいもん!」と好意的に注意を受け入れてくれたものの、私がもうここには来ないと言った瞬間の、はっきりと線を引かれたような表情は忘れることが出来ません。
こちらはこちらで、お互い利益があったから笑顔を見せあっていた。
こういう部分はネットワークビジネスの連中とあまり変わらないな、と少し虚しくなりました。
普段通りの生活に戻った今でも大きい駅や人が多い場所に行くと、YやMがどこかにいるのではないかと周りを見渡してしまいますが、不思議とネットワークビジネスのメンバーには一度も出会っていません。
恐らくすれ違ってはいるのでしょうが、彼らは私の顔も思い出せないし、声もわからないのだと思います。興味自体無かったので認知が出来ない。
すべて終わった今、確信を持てますがそういう集まりだったのです。
良い勉強になった。これが大人になるということか。
と言ってしまえば聞こえが良いですが、別に経験しなくても良い経験だったとも思います。自ら巻き込まれに行ったわけですから、騙されたとも騙したとも言えます。
結局の所私も、ネットワークビジネスのメンバーやフットサルでの友人達と何も変わらない利己的な人間なのです。
あるサイト「B」
半年ほど時が流れ、私はあるサイトを偶然に見つけました。
そのサイトの名前は「B」(仮名)。
元ネットワークビジネスのメンバーで自己破産まで追い詰められた経験がある管理人が、広く注意喚起する為に作ったサイトで、記事を読むと私の関わったグループと全く同じ。製品名も活動場所も時折出て来る人名も一致しました。(このサイトでは半実名で公開)
そして、ネットワークビジネスから足抜けしたい人を応援するための、情報交換掲示板がサイトの端に設置されており、古のネット知識がないとクリックすら出来ないものでした。ちゃんと記事を読むと気付く人は気付くアレです。
パスワードを入れ入場すると、そこには沢山の足抜け希望者と勧誘されている人の相談場所になっており、かなり活発にレスが付いています。
その中でも、注目したのが管理人が作ったであろうネットワークビジネス自体の構造説明と、創始者や師匠ごとのスレの存在。
もちろんMの名前もありますし、その傘下の弟子についても詳しく書かれており、ゴシップ的な暴露も散見します。
私はそれらを読み込み、実際にコンタクトを取って情報を集めた所、疑問に思っていた点が次々とクリアになり、改めて恐怖心を伴った驚きがありました。
スレの数と文章自体かなりの量だったので、下にネットワークビジネスの正体とダークサイドをまとめます。
ネットワークビジネスの構造
製品:○○会社(健康食品)
※ア○○○イではありません、新興系。
アップライン
創始者◎
↑
師匠(Mなど)○
↑
直属の弟子(Yなど)×
↑
弟子の弟子(私の立場)××
↑
そのさらに弟子達(私が作るべきだったもの)×××
ダウンライン
ピラミッドはこのようになっており、私がスターターパックを買った段階で2割ほど契約者紹介料としてYの懐に入りますが、毎月の発注義務があるので結果的に師匠を経由して創始者に吸い上げられます。
◎や×は手に入る金銭の量を示しています。師匠以上しか儲かりません。
※アップライン:契約メンバーを増やした人
※ダウンライン:契約メンバーになった人
製品を発注
↓
この段階で紹介料がアップラインに入る
↓
発注した製品を購入者が知り合いに売る
↓
基本的に売れないのでダウンラインを増やすことが当面の目標になる
特別価格で買った製品を売ることで利益を得る、という触れ込みですが形骸化しており、ダウンラインを増やして購入毎の紹介料を得ることが目的となっていきます。
ダウンラインが発注した段階で、初回より利率は落ちますがアップラインに紹介料が入ります。その後製品が、売れていようがいまいが関係が無いのです。
発注義務と蟹工船システム
ちなみに、YやMからは伝えられていなかった「発注義務」ですが、契約者は仕入れ業者という立場になるため、毎月発注の義務が生じ、最低で10万円以上の製品を購入しないといけません。
出来なければ契約解除になりますが、それはイコールでネットワークビジネスグループからの脱退になってしまうので、早々にMがその借金を肩代わりし返済という名目で経営する会社で働かせる。というスキームが完成しています。
製品が売れない&ダウンラインが増えない
↓
借金(資金が無くなる)
↓
Mが肩代わり
↓
関連会社で悪条件で働かせる
Yも私がスターターパックを買わなければ、月10万の発注ノルマが厳しい状態だったらしく、発注量が多ければ多いほどアップラインは儲かるので、意図的に師匠の立場の人間は向上心に付け込み「借金」=「投資」として発注量の増加へと追い込んでいる節もあります。
要は、マルチやネットワークビジネスの広いイメージのような、一応三~四番目のライン位まで小銭は稼がせるよ。というものでは無く、創始者と師匠だけが儲け、関連会社へと誘導し逃げられなくして一生奴隷のように扱う。法律の隙間を突いた悪質極まりないものです。
人を蟹工船に詰め込むまでが、このグループのビジネスなのです。
メンバーの詳細
創始者について
・元々は4人共同で別のネットワークビジネスを運営していたが、セミナーで事故が起きその組織は法律に基づいて解体。新しく作ったのが今回の組織とシステム。
・新しい組織は反省を活かして法律に触れない勧誘方法と、教育方法を徹底している。
・訴訟になっても逃げれるようメンバーには全てニックネームで名乗ることを命じている。
・ネットワークビジネスで吸い上げた金を原資として、多数の不動産を持ち、経営する美容院やレストランに弟子を社長として就任させている。
Mについて
・Mは師匠の中では3番手、今一番勢力を伸ばしている
・Mには愛人が複数おり、SとUは常にタワマンに常駐している。
・基本女性しか取り上げず男弟子は借金を背負わせ搾取する。
・個人で数個の不動産所有。
・レストランと美容院の雇われ社長で、金に困った弟子を悪条件で働かせている。
Oについて
・Mが経営している美容院で美容師をしている。
・奥さんも会員で二人で借金を返しており常に金欠。
・段々と首が回らなくなり躍起になっているが、勧誘する人自体がもういないと愚痴をこぼしている。
Yについて
・実質的に降格扱いになっており、借金が重なりMの経営するレストランで不眠不休でバイトしている。
Rについて
・情報なし、逃げたか自己破産したかのどちらか。
Kについて
・Mの持っている不動産で、貸部屋業、シェアハウスの運営を任されている。社長などでは無くあくまで管理人としての雇用。
・借金を返すためにグレーな手法で金を稼いでおり、犯罪にならなければ何をしても良いというスタンス。
・ナンパした女性をシェアハウスに住まわせ、ダウンラインにあてがう。これに関してMは見て見ぬふり。
S&Uについて
・Mの愛人。Mの経営している不動産屋で働いている。
・もちろん借金があり、Mが肩代わりの際に秘書として雇い手籠めにされた。
・Mに忠誠を誓っており、直属のダウンライン以外との関りを基本的に禁止されている。
Vol.3での電車内での違和感について
集合場所で空気がピリついたり、電車内でUが挙動不審だったのは、
・直属以外の弟子との接触は基本禁じられている
・新規メンバー(私)の自宅の大体の場所を特定する
が主な理由です。
事前に誰かが一緒に電車に乗り、私の降りる駅を確認することが決まっており、その役目に選ばれたUはメールでYに逐一報告していたのです。
私はYの路線が逆なのは知っていたので、今まで接触が無かったメンバーである必要があったのでしょう。
東京では降りた駅で、ほぼ住んでいる場所の目星がつきます。
路線を知ることで、Mのマンションへの到達時間計算にも使われ、シェアハウスなどに誘導しやすくなりますし、給与水準もはかれます。
このように、かなり前の段階から取り込むための準備が始まっているのです。
集まっている人の特徴
男女比
40:60
学歴
多くは大卒と専門学校卒。そして、意外と高学歴も多いです。
早○田やMARCHは勿論、国立系まで。
なぜなら、影響力がある仕事に就いている人が多いので真っ先に狙われます。ゼネコン、不動産、大手商社、通信系など。
職種
圧倒的に多いのは、看護師、介護士、保育士、美容師。
要は大変な割に給料が見合っていない職種。都心部だとSEも多いです。
その他には不動産業が多く、これはグループ自体が不動産経営をしているのでコネがあり、流入が多い結果です。
拠点
東京(○川区周辺)、大阪(最近は近隣の県にも進出している)、福岡(人数は少ないが狂信的)。
容姿
男性:横は刈り上げ短髪でおでこを出している、服装はオフィスカジュアル、儲けているという割には小物が安価(スマホ、靴、ベルト、ネクタイ)
女性:化粧は濃すぎない程度でミドルのボブ多め、おでこを隠さない、パーマをかけている人は少ない、服装はオフィスカジュアル、デコルテ出して細めのネックレス着用
※普段から素でこういう人もいるので、あくまで参考程度と思って下さい。
口癖や振る舞い
男性:オーバーリアクション、常にポジティブ変換、男らしさにこだわる、声がでかい
口癖:幸せ、勇気、やりたいこと、人生変えよう、成長しよう、今の仕事で満足か、毎日がワクワク、俺は運が良い、どんどんやっていこう、本当努力家だね、キラキラだね、あの人魅力あるなぁ~
女性:オーバーリアクション、常にポジティブ変換、女性らしさにこだわる、常にスマホを確認している
口癖:幸せ、勇気、やりたいこと、今の仕事大変そうだね話聞くよ、毎日がワクワク、どんどんやっていこう、キラキラだね、君ならやれる、私がついてるよ、尊敬できる人がいると人生変わるよ、ハワイ行って悠々自適で暮らしたいよね~
※普段から素でこういう人もいるので、あくまで参考程度と思って下さい。
高学歴青年の末路
高学歴の会員も多いと上に書きましたが、その理由として、
・異性の誘惑に弱い
・仕事内容自体に利用価値がある
・毎月の給与が多い
があり、端的に言うと狙われます。
実際に早○田卒の大手不動産勤務、大卒初任給で年収600万の好青年も勧誘されハマってしまい、現在は収入のほとんどを製品購入に溶かし続けており、そのコネと内部情報を活かし、ネットワークビジネスのグループが不動産を購入、経営のノウハウも吸収され徹底的に利用されています。
彼がハマった理由は、女性会員と恋に落ちたからです。もちろんその会員は師匠の愛人で女性側に恋愛感情などありません。
収入が多い=扱っている金額が大きい。なので借金もどんどん膨らみ、今後の末路は決まっています。利用価値が無くなれば蟹工船送りでしょう。
ダークサイド
勧誘方法、取り込み方
【主な勧誘の流れ】
フットサル、合コン、街コン、マチアプ、クラブ、ライブ会場、個人主催のパーティ、などで仕事に関する不満を聞き出す。
↓
2~3回ほど連絡を取り普通に交流した後、セミナーに誘い、セミナー会場で師匠に紹介する。
↓
ビジネスのことを簡単に伝え、反応が良ければイベントに呼び、コミュニティに取り込む。
↓
タワマンへ呼び出し、非日常を味わせ、憧れを植え付ける。
↓
簡単な仕事、コミュニティでの役割を与える。セミナーの受付や運営など。
↓
ファミレスなどで最終確認を行い、契約者として製品を買わせる。☆
↓
クーリングオフ期間が過ぎるまで、弟子総出で逃げないように監視&イベントを詰め込む。
↓
研修合宿で仕上げ。
☆のマークは詳しく具体的にビジネスの説明があったかどうかを示しています。
巧妙にビジネスの内容に関する話題ははぐらかされ、十分にコミュニティに取り込んだと判断された場合、最終確認が行われます。
内容自体はシンプルに見えますが、ディティールが綿密でシステムとして完成度が高いです。
どこまで行っても人の「欲」に付け込むことを目的としており、本編の1~20の内容を改めて確認すると発見があるかもしれません。
【本編記事一覧】
ネットワークビジネスに勧誘された話 カテゴリーの記事一覧 - どろのヲタブログ
SEI事情
会員向けシェアハウス
名ばかりの自由恋愛のホテル状態になっており、K主催のハプニング系イベントも多数行われている。ここで繋がった男女がそのままパートナーになる事例もあり、その後夫婦であることを売りにして会員獲得に励んだりする。
研修合宿
名ばかりの自由恋愛大お披露目合宿になっており、会場はアルコール類の空き缶と○液と吐しゃ物まみれになり、数度合宿所から出禁を告げられているほど。
都内近郊では借りれる場所がないので、千葉などの郊外のはずれにあるマイナーな旅館を貸し切りにすることが多い。ここで繋がった男女がそのままパートナーにな・・・略。
SEI的な魅力がその人の魅力という詭弁
特に女性会員は師匠から口酸っぱく言われる言葉、「魅力が高まれば君の収入も増える・・だから・・・」と関係を迫り愛人にする。
借金風○落とし
女性会員で借金が膨らんだ人の一部は師匠の命令によりSEI的サービス従事者となります。もちろん「魅力が高まれば・・・略」の言葉を添えて。昼は不動産の営業や受付、夜は・・・ということですね。
まとめ
ちなみに、このサイト「B」は現在閉鎖されています。
名誉棄損としてネットワークビジネス側から訴えられ、敗訴。閉鎖に追い込まれたからです。半実名で晒してしまったことが決め手だったみたいですね。
このように、ネットワークビジネス側というのは法律に精通しており、ギリギリグレーか黒か。という塩梅を理解した組織なのです。皆さんが思っている以上に狡猾です。
私はハマるなとも、足抜けしろとも言えませんし、ハマってしまった人を連れ戻す方法なども無責任に言えません。
ですが、私が本記事、本編で示した文章のどこかの部分が、注意喚起になり、誰かの背中を押すことになることを心から願っています。
騙された人が悪いのではなく、騙す人が悪いのです。
騙された側には一切否はありません。
自転車置き場で想像してみて下さい。
端で自転車を「オラぁッ!」と言って蹴り飛ばした人がいたとします。
そして、自転車がドミノ倒しになり、たまたまそこにいた人が巻き込まれ転倒し、その隣にいた人にぶつかってしまいます。
そうなった時、人は自分にぶつかってきた人に怒ります。なんなら慰謝料を請求します。なぜか?
最初に蹴った人が怖いからという理由が一つ、そしてもう一つは無知だからです。存在自体を知らない。目の前で起きたことに全ての要因を見出そうとする。
ここまで読んでくださった方はこの意味を分かってくれると信じています。もし身内や知り合いがハマってしまっても敵を間違えないであげて下さい。
私から言えることはこれで終わりです。ありがとうございました。
【クーリングオフについて】
本編では期限が8日と書いていますが連鎖販売取引(ネットワークビジネス、マルチ、ねずみ講など)のクーリングオフ期間は20日あります。
当時の私の知識、環境を鑑みて書いているのでその点はご留意下さい。
ネットワークビジネス内部にいると、師匠からはネットもテレビも見るなと繰り返し伝えられ、外部情報や都合の悪いものが頭に入ってこないようにコントロールされます。
実際、契約後に破棄したいと申し出ても、クーリングオフは8日まで、もしくはクーリングオフ自体不可という文句で押し切られてしまうパターンがほとんどです。いわゆるクーリングオフの妨害というものですね。
とにかく、困ったら真っ先に消費者センターに頼ることが大事です。
少しでも疑念を抱いたら相談してみましょう、その情報がまた他の困っている人を助けるのです。