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おにまいから考える、女装と性的自認のありか【お兄ちゃんはおしまい!/2期考察/アニメレビュー】

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【注意】

原作含めたネタバレあり。

リアル女装などへの言及アリ。苦手な人は注意。

引用元:https://onimai.jp/

お兄ちゃんはおしまい!、略称おにまい。

冬アニメでは個人的に1番好きなアニメになりました。今回は全話試聴後のレビューになります。

 

第一話レビューはこちら。↓

後半はより日常系へ

序盤は、まひろとみはりが中心に話が進みましたが、後半は中学校へ編入し同年代三人との絡みがメインとなりました。

まるで普通の日常系百合アニメのようで、あさひや、もみじ、みおちゃんとの同級生カルテットはとても尊かったです。

 

そして、最終話の旅行先で男性に戻りかけてアレが生えるというトラブルに見舞われ、みはりの用意したTS薬を飲む、飲まない、という選択肢が与えられます。

飲むと当分はまた女性として生活を送ることになります。

原作ではあっさりと薬を飲み軽く心配されるような描写でしたが、アニメではその選択肢に対して深刻に悩んだ後に、決心して飲むという描写になっています。

 

このアニメは第一話から、要所で原作より少し踏み込んだ描写をしており、あくまで制作側の解釈の部分なのでしょうが、その要素がよくあるTSモノに収まらない魅力を生み出しています。

お兄ちゃん改造計画

 

【最終話までの流れ】

TS化→戸惑い→受け入れ→指向の変化→年齢の離れた友人との出会い→年齢の近い友人との出会い→コミュニティへの参加→自発性の獲得

 

となっており、TS化以外はフリースクールや居場所がない人への支援として用いられる手法と同様で、これも含めて「お兄ちゃん改造計画」だとするとみはりは末恐ろしいこです。

 

筆者は「お兄ちゃん改造計画」がお兄ちゃんという役割を辞めさせることから、始まっているのでは?と前記事で書きましたが、最終話まで観てある程度合っているように思いました。

 

これらは、原作を読む分にはそこまで感じなかった部分なので、やはりアニメ制作側の解釈とワンクールアニメとしての演出の一部と考えるのが妥当です。

 

実際に藤井慎吾監督は女性の苦労と性差を描く本作の性質を踏まえ、脚本家として横手美智子さんにオファーを出したそうです。

 

では、なぜ役割を奪うことが改造計画となり、みはりの望むようにまひろが社会復帰して以前のように楽しい毎日を送ることに繋がるのか・・・。

女装と性的自認のありか

まず、初めにですが筆者は「女装」をしたことがあります。

学生の時のイベントでの出し物だったので、ほぼ無理やりでしたが・・。

(原作でもありましたね)

 

女性に囲まれ、動くなと言われなされるがまま、メイクを受けウィッグを付けられ、服を渡され「はい、着替えて」と。

 

ここまでは身体的変化が無いこと以外は、まひろと同じ境遇です。

正直嫌でしたし、当時18歳のストレートの男子として気持ち悪さがずっと付き纏っていました。

 

ですが、着替えて鏡の前に立った時、なぜか「救われた」気分になったのです。

女装カフェ

世の中には女装カフェというものが存在します。

女装スタジオなどと呼ばれることもあります。

 

店舗に専門のスタッフがおり、訪れた人に女装メイクをして服装も貸出し、撮影までする。といったサービスです。

 

以前、ドキュメンタリー番組が特集していましたが、訪れるお客さんのほとんどが20代後半〜30代半ばくらいまでのサラリーマンだそうです。

 

ある30代サラリーマン(家庭持ち)のお客さんに密着した際、女装した自分を鏡で見て涙を流していました。

 

女装経験が無い方はそんな大袈裟な・・・と思うかもしれませんが、経験のある筆者はわかる!と思いました。

 

男らしくしなくて良い、男性という重圧を感じなくて良い、今だけはカワイイ自分でいられる。という強烈な安心感。

 

しかし、この状態でずっといたいかどうかは性自認の深い所なので、言及はしません。

この方も一通り写真を撮り、メイクを落とした後は晴れやかな様子で帰って行きました。帰るべき家庭へ戻り、これからも良い父親でいるのでしょう。

 

筆者も女装後このままでいたいとは思いませんでしたし、それ以降女装をしたことも無いです。

 

ですが、あの時感じた強烈な安心感は生きていく上で、大きな心の支えになったことは確かです。

 

男性とはこうあるべきという見えない重圧は、人によっては心を蝕み続けるもの、と実感したのです。

お兄ちゃんはおしまい!

このアニメを観たり、原作を読んだことのある方は恐らく、最終的にまひろはどうなっちゃうの?女の子のまま?それとも男性に戻る?改造計画は?

と、考えているかもしれません。

 

ですが、筆者はどちらでも良いですし、このアニメのワンクール分ですでに目的は達している。と考えています。

 

仮にまひろは男性に戻り、お兄ちゃんを再開しても以前のようなニートには戻らないと思います。

 

完全なTS薬が開発されて女性になると選択したとしても、楽しい毎日を送ることでしょう。

 

お兄ちゃん改造計画とは、恐らくまひろが様々なことを経験し自分で選択する。

そのための過程なのだと思います。

2期の可能性

可能性は80%、だけど時間がかかる。

というのが筆者の見解です。

 

最終話に原作ではこの先の展開に出てくるキャラの後ろ姿が写っており、最後のアイキャッチでは完全に顔出ししています。

 

制作会社であるスタジオバインドは現在、自社の柱になるアニメは無職転生とおにまいのみです。無職転生のアニメ化においても、長期的に進めることの出来る体制を作るために設立した経緯もあります。

 

なので、長期的に継続するプロジェクトとして立ち上がったものをアニメ化する。という方針があるとすれば、おにまいもそうなる可能性が高いです。

 

ただ、作画監督とキャラクターデザインを兼任している今村亮さんと監督である藤井慎吾さんは、無職転生の原画、絵コンテにも参加しており、無職転生IIにも関わっているのであれば、おにまいプロジェクトはゆっくりと進んでいく形になるかもしれません。

 

早くて2024の冬アニメ・・・と言いたいところですが、無職転生も2年以上かかっている事を考えると2025年の春頃になるのでは?と思っています。展開的にも・・・。

 

とはいえ、大好きなアニメなので気長に待ちたいと思います。

その間にOVAか何かイベントやってくれたら嬉しいなぁ。

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